ケブラーダ・デ・ウマワーカ(アルゼンチン)

Julian HackerによるPixabayからの画像 ウマウアカ渓谷1

※アイキャッチ画像は「Julian HackerによるPixabayからの画像」

Quebrada de Humahuaca ( Argentina ) OUV(ii)(iv)(v)

2003年 世界文化遺産登録

◇先史時代から続く人々の往来と農業により作られた景観

アルゼンチン北西端、アンデス山脈上に位置するフフイ州、ウマワーカ渓谷は、グランデ川によって切り開かれた150㎞を超える長さの渓谷であり、世界遺産に登録されています。

渓谷はアンデス高地の寒冷ツンドラ地帯から、広大で蒸し暑い南東のフフイ渓谷にまでおよび、狩猟時代から現代まで、人びとの往来による文化の交差路の役割を果たしてきました。主な交易品は塩湖で採取した塩や農作物。

先史時代(紀元前9,000年から紀元400年)から、狩猟・採集の生活様式があり、その後は農業によって繁栄(紀元前400年から900年)、15世紀にはインカ帝国、そしてその後はスペインの文化により町や教会が出来ていきます。

先史時代のものとしては、インカクエバと呼ばれる壁画が残る地域には、動物やその出産の壁画やミイラが見つかっています。壁画以外にも、スペイン入植以前の文化や風習は、今でも祝祭行事に残っているようで、ミンガやシグネドと言われる農業に関するものや、死者の崇拝、守護聖人の祭りに関するものもあるそうです。

最も有名なものが、アンデス山脈に広がるパチャママの崇拝。インカ帝国は、太陽(インティ)と大地であるパチャママを崇拝していたことから、例えばパチャママの日(8月1日)から一か月の間、アンデスの人々は母なる大地に祝福を求めることとされています。

また、農業の面では、約1,500年前に始まり、今日でも使用されていると考えられている石垣の棚田による遺跡です。これらは、プカラスと呼ばれる、町ごとに設置された区画になっていて、棚田以外にも家屋、墓地遺跡、祈りの場などがあり、石造りの町とともに渓谷に広がる景観(文化的景観)に繋がっています。

農作物はアンデス原産のじゃがいも、そして現代ではスーパーフードといわれるキヌアです。キヌアだけでも6種類も育つのだとか。

Julian HackerによるPixabayからの画像 ウマウアカ渓谷2

また、周辺の渓谷の地層はその含まれる鉱物によってカラフルな地層になっていて、それらが隆起によって露出すると、まるで七色の地層が波打っているかのように映ります。

美しい大地に先史時代からの文化の交流、とても魅力的な地域です。

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