※アイキャッチ画像は「Paul MontvilleによるPixabayからの画像」
K’gari (Fraser Island) (Australia) OUV(vii)(viii)(ix)
1992年世界遺産登録
■ユニークな地球環境が生み、アボリジニが守り続けてきた楽園
クイーンズランド南西部に位置する、幾多の砂丘と淡水湖を有するオーストラリア最大の島が世界遺産に登録されています。
ガリは現地のアボリジニの言葉で”楽園”を意味するそうです。2017年にクイーンズランド州はこの島のほとんどを占めるグレート・サンディ国立公園内の区域名を「ガリ」へ変更し、2021年の世界遺産委員会でも遺産名を、あとから付けたフレーザー島から、ガリに変更しました。近年世界遺産委員会でも名称に意味や地域に配慮したものに変更する風潮が広がっています。
島の全長は120km、最大幅25kmになり、砂丘は南東の風に運ばれて毎年数mずつ移動しています。砂丘は白く美しいビーチになり、観光客を魅了します。
例えば、島東側に位置する75マイルビーチは、その名のとおり約100㎞にわたって続く白砂のビーチ。コバルトブルーの海の美しさとシリカサンド(珪砂)による白い砂浜を4WDで走り抜けるアクティビティはとても人気です。
また途中には、打ちあがったまま放置された難破船「マヘノ」があり、かつて客船として活躍していた船が朽ち果てた姿は映画のワンシーンのようです。
海洋生物も豊富で、毎年8~10月にかけて、ホエール・ウォッチングツアーも実施されます。
また、ガリの特徴はビーチや砂丘だけでなく、豊富な水に恵まれて形成された森と淡水湖が数多く広がる点にあります。中でも有名なのがマッケンジー湖です。「世界一美しい水」と称され、シリカサンドと透明度の高い水、そして周囲には熱帯雨林を散策できるコースがいくつもあり、ディンゴやワラビー等オーストラリア特有の野生動物などを見ることができます。
特に絶滅危惧種に指定されているキジインコなど350種を超える野鳥の住処になっているのも特徴で、ラムサール条約の登録湿地もあります。
こうした環境は、オーストラリア東部の山脈から流れ出た砂が堆積して形成された島であり、雨水によって地下にレンズ状の淡水層を形成したことで出来たとされます。これはツバルの地層と同様ではないかと思われます。
先のマッケンジー湖はこの地下水層よりも高い位置にあるパーチド・レイクと呼ばれる形成で、砂丘と砂丘の間のくぼみの水はけの悪い層に雨水が溜まったものだそうです。その他同じ湖でも2種類の形成の様式があるそうです。
こうした特殊な大地の形成は世界遺産でも評価されましたが、19世紀前半からヨーロッパ人により開発が行われ、先住民は一時消滅寸前にまで追い込まれました。1992年の世界遺産登録からは自然破壊にも歯止めがかけられ、再生の道を歩み始めているとのことです。
例えば、この島のホテルでは伝統的なアボリジニの生活の一部を体験できるようになっています。