Alhambra, Generalife and Albayzín, Granada ( spain ) OUV(i)(iii)(iv)
1984年世界文化遺産登録 1994年範囲変更
■中世イスラムとキリストの文化が共存する宮殿や庭園、そして町並み
スペイン南部のグラナダに位置し、中世イスラム建築の頂点に位置するとも言われる建築が残る、アルハンブラとヘネラリーフェエリアがスペインで最初の世界遺産に登録され、そして1994年にアルバイシン地区が拡大登録されました。
アルハンブラはナスル王朝の初代ムハンマド1世の命により9世紀から軍事区域”赤い城塞“として建設され、以降イスラムの王朝であるナスル朝の歴代の王(スルタン)の居城として増築が12世紀まで繰り返され、水道の整備とともに城塞都市として数千人が暮らす町に発展しました。
15世紀末にはレコンキスタ(国土回復運動)をうけてキリスト教徒による陥落ののち、モスクは教会や修道院に改築されていきました。
現在残る建築は主に、
ナスリッド宮殿:アルハンブラ宮殿の最も象徴的な部分で、グラナダを支配していたナスル王朝の王宮。有名な中庭”パティオ・デ・ロス・レオネス(獅子たちの中庭)”など、美しい装飾で飾られたムーア建築と庭園で構成されています。
アルカサーバ:アルハンブラ宮殿の最も古い部分で、もともとは軍事要塞として機能していた部分です。防御壁、塔、見張り台で構成され、アルカサバからはグラナダのパノラマを眺めることができます。
カルロス5世宮殿:レコンキスタ後に、皇帝シャルル5世が命じたルネサンス様式の宮殿。ナスリッド宮殿のムーア建築とは対照的で、ルネサンス建築による西洋風。
ヘネラリーフェ:スルタンの別荘であり、宮殿へ作物を配給していた場所であり、そして貴族たちの憩いの場でもありました。周辺を流れるダロ川から支流をヘネラリーフェへ引き込むことで水路を造り、果樹園や庭園を形成します。別荘内の”アセキアの中庭“は細長い池を囲むように花壇、噴水、柱廊が設けられていて、アンダルシア地方におけるイスラム建築の中でももっとも保存の状態が良いものの1つとされているそうです。
グラナダ大聖堂:ルネサンス様式のドームをゴシック様式に結びつけた聖堂です。主祭壇のドームは美しいステンドグラス、彫刻、そしてアロンソ・カノの絵画。そしてレリーフや絵画で装飾された3つの門や礼拝堂が保存されています。
■レコンキスタから500年たった現在も、ムーア人の町並みが残るアルバイシン地区
アルバイシン地区は、アルハンブラ宮殿の向かいの丘に位置し、その歴史は、ムーア人が統治していた時代にまで遡ります。ナスル朝時代に狭い通りや広場、複雑なタイル細工が施された白壁の家々が立ち並ぶ景観へと発展します。
※ムーア人については同じくスペインの世界遺産「シントラの文化的景観」を参照ください。
ダロ川沿いには、絵画のような美しい通り”カレラ・デル・ダロ”が散策にはピッタリ。バルコニーが垂れ下がった伝統的な家々、古い橋、広場があり、雰囲気の良いカフェやブティックが点在します。
この町の発展に寄与した重要な施設として、貯水池があげられます。その一つであったアルヒベ・デル・レイは”王の貯水池”を意味し、中世の貯水池として、ドーム型の天井とアラビア語の碑文が残り、ムーア人の技巧を見ることができます。