世界遺産リストに記載(登録)されるには、決して有名な観光地になる必要はなく、またミシュランのような民間の格付けが必要なのではなく、国際的な会議である「世界遺産委員会」にて決議される必要があります。
そしてそこで「登録」の決議を得るには、まず遺産の「申請」手順を踏み、「普遍的な価値」を持つことを証明する必要があります。
<申請までの道のり>
<例)日本の文化遺産の場合>
暫定リストを世界遺産センターへ提出(※1)
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推薦準備、文化審議会世界文化遺産部会にて決定
- 普遍的価値の証明
- 真正性・登録基準の適合
- 法体制の整備
- 完全性(文化財保護法指定、バッファーゾーンの設定)
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世界遺産センターへ暫定版の推薦書提出(9/30まで)
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推薦の決定
- 文化庁の推薦決定(文化審議会文化財分科会による)
- 政府の決定(世界遺産条約関係省庁連絡会議※3 による)
- 閣議決定
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世界遺産委員会へ正式な推薦書提出(翌2/1まで)
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諮問機関(文化遺産ならICOMOS、自然遺産ならIUCN等)による専門調査(約1年半かかる)、世界遺産センターへの報告(例年翌5月)
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世界遺産委員会の開催(例年6, 7月)(※2)
- 記載(Inscription ): 世界遺産一覧表に記載するもの。
- 情報照会(Referral ): 追加情報の提出を求めた上で次回以降の審議に回すもの
- 記載延期(Deferral) : より綿密な調査や推薦書の本質的な改定が必要なもの。推薦書を再提出した後,約1年半をかけて再度イコモスの審査を受ける必要がある。
- 不記載決議(Decision not to inscribe) : 記載にふさわしくないもの。例外的な場合を除き再推薦は不可。
※1)申請に必要なポイント
- 自薦であること
- 不動産であること
- 遺産の保全体制(法整備等)が整っていること
- 暫定リストに記載していること
※2)登録(記載)されるのに必要なポイント(=普遍的価値の証明)
- 真正性が担保されているか
- 完全性が担保されているか
- 10項目の登録基準のうちいずれか1つ以上認められるか
※3)世界遺産条約関係省庁連絡会議
文化遺産であれば文化庁、自然遺産であれば林野庁あるいは環境省が推薦を行い、さらに外務省・国交省・水産庁が参加、オブザーバーとしては農林水産省・文部科学省が参加する会議。