◇グローバル戦略(Global strategy)

1991年の時点で世界遺産条約の締約国が121か国におよび、順調に拡大されていったものの、気づけばそのうち条約は締結していても世界遺産を一つも持たない国が37か国もある状態になっていました。

人類共通の財産であるはずが、なぜ国ごとに偏りがあるのか―

それにはもともと欧米を中心に進められてきた世界遺産委員会。日本も条約を締結したのは1992年のこと。

よって第一に、地理的な偏りが存在しました。

また世界遺産登録における復元に関する解釈の仕方が、石の文化である西洋を基準とされていたため、木の文化や土の文化を持つアジアやアフリカは、必然的に数が少なくなっていたのです。

よって第二に、遺産の保存評価(真正性)に偏りが存在しました。

そして第三に、1993年から導入された、文化的景観という、自然を文化的な解釈をする考え方が生まれたことです。

1994年第18回世界遺産委員会では、これらの偏りを無くすための「グローバル戦略」が採択されました。

現在はさらに遺産登録の解釈拡大が進み、コルビュジエに代表されるような20世紀以降の近代建築物や、産業遺産なども登録されるようになってきました。

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