Greater Blue Mountains Area ( Australia ) (ix)(x)
2000年 世界自然遺産登録
○ここは世界の13%を占めるユーカリの森が広がる特異点
オーストラリアの東海岸の都市シドニーから車で1時間ほどの内陸に広がる8つの保護区を総称し、グレーターブルーマウンテンズ地域として全体が世界遺産に登録されています。
この地域は総面積103万ヘクタールにおよぶ森林地帯で、広範囲にわたってユーカリの生息地であり、湿性、乾燥硬葉樹や灌木の荒地から、特有の沼地、湿原や草原などになんと90種ものユーカリ(世界の13%)が存在します。ちなみにオーストラリア×ユーカリと言えばコアラをイメージしますが、コアラが食べるのはわずか20種程度のみのようです。
世界から見ると、オーストラリアの一部の限られたエリアにも関わらず、90種ものユーカリが適応放散・進化し、湿った硬葉樹林と乾いた硬葉樹林や、局所的な沼地、湿地、草原など、様々な環境下でその生息地が広がっている点が登録基準のⅸとして評価されました。

8つの保護区のうち、シドニーから最も近く、観光地としても有名なのが、「ブルー・マウンテンズ国立公園」。30%がユーカリの森が占めるそうですが、残念ながらコアラはこのあたりではほとんど生息していません。しかしその壮大な森はエコー・ポイントと呼ばれる高台の展望台から眺めることができます(アイキャッチ画像)。
ブルーマウンテンズはその名の通り、ユーカリが発する揮発性の高い油分が空を青く反射させること名づけられたとされます。この展望台からは特に左側に見える3つの岩”スリー・シスターズ”が見どころの一つです。
アボリジナルの神話では、嫁に出したくない父が魔法をかけて、3人の娘を岩にしたところ、結婚は免れたものの、父親自身は鳥になってしまい、そして娘たちは人間に戻れなくなった、というお話です。
この鳥、lyrebirdというコトドリの一種で、小さくも尾が美しい鳥。しかしオウムのように様々な音や声を模倣します。ガイドに聴かせていただいた声は、まさに人間の赤ちゃんの泣き声のモノマネで、まったく違いが分かりませんでした。
ちなみに「ブルー・マウンテンズ国立公園」はもともとオーストラリア大陸に移住させられてきた囚人たちによる炭鉱でした。今でこそ森をめぐるさまざまな乗り物のアトラクションが用意されていますが、もとは炭鉱用のゴンドラであった場所等を観光用に再開発しています。

○太古から続く、まさにジュラシックツリー、ウォレミーマツとは
世界遺産になった理由はユーカリだけではありません。
もう一つ大きな存在が、ウォレミーマツ(ナンヨウスギ科)です。
太古の昔、1, 2億年も前、まさに恐竜の存在していた時代から続く種として、IUCNの絶滅危惧種にも登録されています。オーストラリア大陸の起源ともされる、ゴンドワナ大陸時代から続くともされ、気候変動を生き延びて種を存続させてきました。
8つの保護区の一つ、「ウォレミー国立公園」の名前にもなっています。
他にもゴンドワナ大陸時代の植物として、巨大なシダ類も見られます。
ブルーマウンテン国立公園ではシーニックワールドのトレッキングルートで展示説明とともに、樹齢250年ものシダ(シダ植物は樹木ではありません、もっとも原始的な草に近い)もありました。ブルーマウンテン国立公園に行かれたら、アトラクションだけでなく炭鉱の歴史や植物の生態系を知るのも面白いです。
ちなみに7月という現地では冬に訪れましたが、ブルーマウンテン国立公園では雪は降らず、草木も夏とほとんど変わらず青々としていたので驚きました。
