※アイキャッチ画像は版権フリー「Mugwe ThomasによるPixabayからの画像」
Ngorongoro Conservation Area (United Republic of Tanzania) OUV(iv)(vii)(viii)(ix)(x)
1979年世界自然遺産登録 2010年範囲拡大、世界複合遺産登録
■世界最大級のクレーターに生きる動植物と人々が共存してきた証
タンザニア北部、ケニアとの国境に位置する、世界で2番目に広いカルデラをもつンゴロンゴロ山を中心とした保全地域は、特異な地形と多様な野生動物が生息し、周辺に住むマサイの人々を含めて動物と人間が共存している様子が良く分かる地域として、世界複合遺産に登録されています。
このとにかく広大なエリアは、草原・サバンナ・森林などの多様な植生をもち、かつて火山の噴火によって生じたカルデラの大地がベースになっています。
特に世界最大ともいわれるンゴロンゴロ・クレーターは約300㎢の「巨大な穴」この穴を形成する外輪山に湿った空気が当たり、雨を降らし、森ができるしくみになっています。
ンゴロンゴロ自然保護区にはこうしたクレーターが3つ存在し、ここで生息する動物は外界から断絶されているため、独自の生態系を保存しています。
とくに絶滅危惧種とされているクロサイやアフリカゴールデンキャットなど、希少な動物もいるそうです。
こうしたクレーターに入れるのは一部のマサイ族のみ。周辺に住むマサイの人々はこの地域で遊牧を行っていて、動物と人間が共存しながら、自然を守っているのです。
クレーターの中には、楽園とも呼ばれる深さ300m、直径6kmのエンパカイクレーターがあります。外界から閉ざされたこの大地で、生き物はどのようにして生活しているのでしょう。たとえばこの楽園には、60mもの深さを持つソーダ水の湖が存在します。
アルカリ性をもった温泉水では藻類が発生し、フラミンゴのような鳥類は決まった季節にこの藻類を求めてこの湖にやってくるのだそうです。
1月から3月にかけて、100万頭を超えるヌーの大群が大移動をし、子育ての準備に入ります。2月中旬には約3週にわたって出産ラッシュとなり、なんと1日に8000頭もの赤ちゃんが生まれるのだそうです。
クロサイ:wikipediaより引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B5%E3%82%A4
■マサイ族とイギリス政府
マサイ族の言葉で「大きな穴」を意味するンゴロンゴロは、古くから放牧生活する生活の大地でした。1951年にイギリス政府は隣接する「セレンゲティ平原」とンゴロンゴロエリアを一つの国立公園に指定、国有化します(セレンゲティ国立公園についてはコチラ)。
当然、マサイ族は放牧生活ができなくなることに反対し、ンゴロンゴロエリアを保護区という形で1959年に分離。その後紆余曲折をへて、1975年に法改正が行われ、クレーター内での農耕は禁止されたものの、放牧が許されました。
国の保護区になったことで1979年に世界自然遺産として登録され、1981年にはユネスコMAB計画のもと、隣の「セレンゲティ国立公園」と共に、「生物圏保護区」に指定され、またいずれも世界自然遺産に登録されました。
ちなみにイギリス政府にとって、地元住民に当たるマサイ族がいなくなってしまうと、密漁者が増えて困ったという点もあったようです。
世界遺産委員会ではいまだに数年に一度は密漁対策や化石出土エリアの道路の舗装についてなど、遺産の保全状況をモニタリング・審議しています。
■人類の化石も出土、複合遺産に
2010年に、資産範囲の中央部に位置するオルドバイ渓谷にて、人類の遠い祖先ホモ・ハビリスの化石、アウストラロピテクス・アファレンシスなど中学の教科書にも登場するような化石が出土します。
西部のライトリ地区から出た360万年前の人類の足跡化石なども含め、その考古学的価値が評価され、文化的な登録基準(ⅳ)が認められ、複合遺産になりました。
