曲阜の孔廟、孔林、孔府(中国)

Temple and Cemetery of Confucius and the Kong Family Mansion in Qufu ( China ) OUV(i)(iv)(vi)

1994年世界遺産登録

■孔子に纏わる邸宅やお墓

山東省曲阜の中心部 に、春秋時代の思想家・哲学者であった孔子の故郷があり、孔子をまつった孔廟、孔家代々の墓所の孔林、孔子の子孫が暮らした孔府、合わせて「三孔」とも呼ばれ、地域全体が世界遺産に登録されています。

孔子は紀元前4世紀頃に生き、仁(人間愛)と礼(規範)に基づく理想社会の実現を目指したとされ、後に彼の思想は「儒学・儒教」として東洋の文化圏や欧州の啓蒙運動に多大な影響を与えていくこととなります。

死後、その生涯を記念して、住んでいた家を廟とすることが決められ、その後も歴代皇帝の手厚い庇護を受けることで増改築されます。こうして紫禁城、岱廟と並ぶ中国の三大宮殿建築の一つにまで拡大したのが現在の「孔廟」であり、明・清の時代に改築されたものが残っています。歴代の皇帝が重要なイベントを起こす際には皆訪れたとされていて、国宝や遺産が逸失することなく残されているのは、そういった国家としても重要な存在であったことが大きいのかもしれません。

アイキャッチ画像の正殿である「大成殿」には孔子の神像が祀られ、また歴代の碑文を記した石板や明・清時代の石柱などの芸術品も多数残されています。

孔府」は孔子の直系子孫とその家族が住んだ邸宅です。その部屋数は500近くあり、とにかく大豪邸だったようで、20世紀に入るまで代々孔家一族が住んでいたようです。

孔林」は孔子の墓を中心として広がり、10 万人を超える彼の子孫たちが葬られています。元来孔子一族が居住していた邸宅は現在、 150 の建造物が残されているようです。周囲が高い木々で覆われていて、その名の通り林・森のような雰囲気です。

孔子の一族である孔家は、1949年中華人民共和国の成立とともに台湾に移住されたようで、確かに台湾にも孔子廟と呼ばれる寺院・廟が沢山ありました。こうした孔子に纏わる建築はアジア全土に2千以上あったとされます。

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