ラージャスターンの丘陵要塞群(インド)

2010年撮影 アンベール城

Hill Forts of Rajasthan (India)  OUV (ii)(iii)

2013年世界遺産登録

■かつて長きにわたって栄えた王朝の城塞

広大なインド、ラージャスターン州内には、8~18世紀に繁栄したラージプート王朝の6つの大規模丘陵要塞群が残ります。

ラージプート王朝とは、正確には1つの王朝というより、8~18世紀におけるヒンドゥー教徒のラージャスターンに住む民族が興した様々な王朝を包括して呼ぶようです。

よって6つの城塞はサルタンやムガール建築など他の地域的様式と多くの共通点を持つ一方、先例や近隣の例から着想を得た様々な要素を併せもち、城塞によって歴史背景や建築様式なども少し異なります。

この点で同じ時代に互いに影響しあった文化として基準(ⅱ)を満たします。

この時代の王朝は沢山ありますが、3つを例に挙げると、

チャンデーラ朝:10世紀前半から13世紀末まで北インドにあった王朝。この王朝は、クシャトリアの家系とする伝承をもつラージプートの王朝であり、世界遺産にもなっている「カジュラーホーの寺院群」を築いた。

メーワール王国:8世紀~20世紀まで続いた王朝。チットールガル城はかつてメーワール王国の首都であり、15世紀の王クンバーが改築した宮殿跡、クンバーが建てたストリンガー・チョーリ寺院や勝利の塔、13世紀の名誉の塔などが残る。ムガール帝国と戦いつづけてきたが、16世紀にはムガール帝国の第三代皇帝アクバルによって陥落させられたとされる。また、そのほか首都として築かれた城塞、クンバルガル城も世界遺産に登録された。

アンベール王国:11世紀~20世紀まで続いた王朝。アンベール城は16世紀頃に造られたとされるが、時代とともに増改築され、ムガル帝国の傘下であったころのイスラム建築の特徴も見られる。

同じく世界遺産としてムガル帝国のタージマハルにあるチャハトリはここでもみることができました。訪れたのが世界遺産に登録される前だったのですが、ガイドが案内したいと連れてくれて、今ではとても感謝しています。

2010年撮影 アンベール城からの城壁
2010年撮影アンベール城 タージマハルと同様、チャハトリが見られる

その他、世界遺産に登録された城塞は、下記3つです。

ランタンボア城塞

ガグロン城塞

ジャイサルメー ル城塞

これら巨大な丘陵要塞群は、防衛のための駐屯地だけでなく、ラージプート特有の建築様式を示す宮殿様建造物、寺院群、都市部なども保護するために、精巧な防衛設備で広範囲を取り囲むというラージプート族国家の文化的伝統を今に伝える特別な証として、登録基準(ⅲ)が認められました。

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