セビリアの大聖堂、アルカサル、インディアス古文書館(スペイン)

2022年12月撮影 大聖堂とヒラルダの塔

Cathedral, Alcázar and Archivo de Indias in Seville ( Spain ) OUV(i)(ii)(iii)(vi)

1987年世界遺産登録 2010年軽微な範囲変更

■中世スペインの歴史と誇りが詰まった3建築

アンダルシア地方、セビリアの町の中心部に集合する大聖堂、宮殿(アルカサル)、インディアス古文書館の3つの建築が世界遺産に登録されています。

3つの建築に共通するのは、イスラムからこの地を奪還するキリスト側の「レコンキスタ」に始まり、13世紀から16世紀にかけてのスペイン黄金時代を象徴する時代が映し出された点でしょう。一方で3つの建築は建設時期と細かな時代背景が異なります。

セビリアの大聖堂」はイスラムのモスクだった建物を聖堂に増改築したものです。ですから、沐浴の中庭と現在の赦しの門はイスラム時代の名残であり、外観のゴシック様式あるいはルネサンス様式は西洋の建築。

聖堂として造られたのは13世紀のカスティリャ王国時代、フェルナンド3世によるもの。しかし歴代の王が増改築し、モダンなゴシック(リバイバル)様式に変えられていきます。

聖堂内にはスペインの大航海時代を物語る、クリストファー・コロンブスの遺体が眠っているとされます。その対面には、1000体以上の彫像とレリーフで聖書を再現した主祭壇がそびえます。

2022年12月撮影 セビリア大聖堂 銀の祭壇 18世紀
2022年12月撮影 セビリア大聖堂 コロンブスの墓
2022年12月撮影 セビリア大聖堂 オレンジの中庭 イスラム建築の名残(右手には特徴的な噴水)

隣接する「ヒラルダの塔」は元はモスクに付随するミナレットを改築したもの。改築されたのは遅く、16世紀ですが、エジプトの伝説の塔”アレクサンドリアの塔”を模したとされ、その高さや大きさは街のシンボルになっています。

内部から鐘楼まで登頂できるのですが、なんと階段ではなく、スロープが30階ほどまで続いています。馬でも登れるような設計にしたとか・・・馬で登るには少し狭すぎる感じがしましたが、登った先にはセビリアを一望できる絶景に出会えます。

2022年撮影 ヒラルダの塔 内部
2022年12月撮影 ヒラルダの塔からの景色

アルカサル」もオリジナルはイスラムの宮殿でした。カスティリャ王国時代、フェルナンド3世より後の時代の王ペドロ1世の命により、西洋の建築を取り入れ、イスラム建築と融合した呼称である「ムデハル建築」様式となりました。こちらはグラナダの世界遺産「アルハンブラ宮殿」を模したとされています。

敷地のほぼ中心にペドロ1世宮殿と”乙女の中庭”があり、中庭を囲うようにムデハル様式の1階と、後に増築されたルネサンス様式の2階の回廊が見渡せます。その奥には16~17世紀にイタリア建築家ベルモンド・レスタによって造園された庭が広がります。他にもゴシック宮殿の天井からも西洋のヴォールト天井ながらもイスラミックな配色がなされた天井が見て取れます。

2022年12月撮影 アルカサル 乙女の中庭

インディアス古文書館」は16世紀後半、フェリペ2世の命により作られた商品取引所でした。この時の建築家はフアン・デ・エレーラ。マドリードの世界遺産「エル・エスコリアルの修道院と王室用地」の建築もされた方です。

古文書館としての機能に変わったのは17世紀に入ってからでした。スペインによる海外の植民地化、コンキスタドールによる手記等を含めた歴史が残されています。

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