※アイキャッチ画像は「Loyloy ThalによるPixabayからの画像」
Ancient City of Damascus ( Syrian Arab Republic ) OUV(i)(ii)(iii)(iv)(vi)
1979年世界遺産登録 2011年軽微な範囲変更 2013年危機遺産登録
■世界最古のモスクが残るイスラムの巡礼地
シリアの首都ダマスクスのうち、ウマイヤド・モスクを含む城壁で囲まれた内部がシリアで最初の世界遺産に登録されています。
この町の歴史は非常に古く、3000年近い歴史をもつとされ、特に新バビロニア、セレウコス朝シリア、ローマに占領され、そしてイスラムの文化が入ったのは7世紀、ウマイヤ王朝の新興でした。
この時、一帯に住む非アラブ系には重い土地税を課し、アラブ系には年金を与えるという政策がなされていました。このため、年金を得ようとイスラム教に改宗した非アラブ系が増加したそうです。また、重い税を逃れるため、ウマイヤ朝における遠征兵として志願する者も多かったそうで、こうした活躍もあってイランからイベリア半島までの広大なエリアを支配権にしていったのです。
その中心地であったダマスカス旧市街は、1世紀頃ローマが最初に建設したと言われている城壁を原型に、13世紀から14世紀にかけて、十字軍やモンゴル帝国等の侵略を防ぐために、アラブ系が建築したものです。城壁には、7つの門が残っていて、城壁をくぐった内部の旧市街地は、狭い入り組んだ道になっています。
ウマイヤ・モスクは、ウマイヤ朝が8世紀初めにワリード1世がギリシャ正教の聖ヨハネ教会を大モスクに改造したもので、現存するモスクのなかでは最古のもの。聖堂には「破壊したものは狂人になる」という呪いがあったそうですが、イスラム教徒にとっては、神アッラーのために自らが生贄となり、狂人となるとして破壊してみせたそうです。
一方で壁面を彩る庭園のモザイク画は天国の楽園をイメージしており、時代とともにローマ様式、ビザンツ様式も残しつつイスラム建築となっていった物語が残る美しいモスク。
イスラム教の4大聖地の1つに数えられており、シリア国内はもちろん、周辺のイスラム諸国から巡礼ツアーが訪れています。
その他市街には、ウマイヤド・モスク北門近くにある十字軍を撃退した英雄(サラーフ・アッディーン=サラディン)を埋葬している廟”サラーフ・アッディーン廟”が残ります。
シリアの世界遺産は現在、すべてが内戦により危機遺産リストに登録されています。
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