Meteora (Greece) OUV (i)(ii)(iv)(v)(vii)
1988年世界遺産登録
■今も修道士が暮らす、絶壁の奇岩の上の修道院群
ギリシア中部、テッサリア地方には、明らかに不自然な位置に修道院が建っています。垂直に切り立った岩塊群の頂きに築かれているのです。
ここは石灰岩の大地が風雨で削られ、残った固い岩盤が奇岩となって現れた、他には見られない自然景観があります(登録基準ⅶ)。
その特異な自然景観は、オスマン・トルコによるキリスト教への迫害をのがれたギリシャ正教の修道士にとっては、祈りの場としても、また神に近い所に例えられるほどの神秘的な場として映り、いつしか修道院が建てられていきました(登録基準ⅰ)。
これら修道院は最盛期の15~16世紀には24にもなりましたが、こうした外界とは断絶された場所で禁欲的な理想を求めた生活様式や、道路もエレベーターも無しに縄梯子や滑車で築いた建築様式は西ヨーロッパやギリシャ正教に影響を与えていきます(登録基準ⅰ, ⅳ)
一方風化しやすく、壊れやすい断崖の上、どんなに雨水を溜める工夫をしても飲み水の確保も困難な場所では生活も大変で、現在も修道士が暮らすのはわずか6軒のみだそうです。
例えばヴァルラアム修道院は373m、東京タワー並みの高さに相当します。こういった特異な場所で暮らしたり巡礼者を迎えるのは世界でもここだけかもしれません(登録基準ⅴ)
また修道院に残る、主に16世紀に描かれたフレスコ画は、クレタ式と呼ばれる美術として、ビザンツ時代の特徴を表していて、クレタ島から始まった美術が広く、そして長い間ギリシャを始めとして伝播していった証拠になっています(登録基準ⅱ)。
余談ですがメテオラの修道院は、1981年公開の映画「007 ユア・アイズ・オンリー」で、ボンドが断崖絶壁から蹴落とされるシーンでも使われたそうです。
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