パリのセーヌ河岸(フランス)

2008年撮影

Paris, Banks of the Seine (France)  OUV(i)(ii)(iv)

1991年世界遺産登録

■時代とともに変わり続けた宗教・文化・芸術の中心地

パリと言えば誰もが知っている建築が観光名所としても有名になっていますが、例えばエッフェル塔は世界遺産です。しかしエトワール凱旋門は世界遺産ではありません。エトワール凱旋門と言えばナポレオンの19世紀の戦争の勝利を祝して建てられたものですが、同じくナポレオン所縁で、ナポレオンの墓とされているアンヴァリッドは、世界遺産に登録されています。

そうです、パリの建築すべてが世界遺産ではありません。

注目すべきなのは世界遺産の登録名にあるとおり、「セーヌ河岸」という点です。

パリセーヌ河岸の遺産範囲については下記ユネスコhp参照

https://whc.unesco.org/en/list/600/multiple=1&unique_number=710

パリは紀元前2世紀ごろにシテ島にケルト人が住み着いた時から、ルテティアという名で知れ渡った街でした。6世紀にはフランク王国の首都になり、栄えていきます。12世紀にはシテ島にノートルダム大聖堂、そしてサントシャペルに代表される教会群が建設ラッシュとなり、キリスト教の中心地へ。16世紀にルーブル宮殿(今は美術館ですが)が王宮となり政治の中心に。

そして19世紀後半になるとオスマン知事がパリの大改造に着手、シャルルドゴール広場を中心とする放射線状の街並みはこの時に出来たものです。

こうした時代背景とともに「様々な文化が交流して出来上がった街は常にシテ島を中心としたセーヌ河岸」であり、それが評価されて世界遺産になったのです。オーストリアの世界遺産「ウィーンの旧市街と同じような経緯です。

変化の一方で、歴史的眺望を保護する目的で 1977 年に、”フュゾー規制”(特定建造物の背後の高さ規制)が制定されます。これによって、パリの街中に高層ビルや大型ショッピングセンターなどが造られないようにしています。

■構成資産

■ノートルダム大聖堂

パリの起源はシテ島と書きましたが、このセーヌ河の中心に残る小さな島に位置します。またGoogle map等でパリからの距離を知る際、中心となっているのがここです。

2008年撮影 内部

とにかく高い天井と美しいステンドグラスが目を引きますが、これらは中世に流行したゴシック様式と呼ばれる建築の特徴で、詳しくは下記のような特徴になります。

さらに他の建築様式との比較をご覧になりたい場合はコチラのページを参照ください。

2019年4月の火災により天井を中心に大きな被害を被りましたが、修復計画が進み、2024年には修復作業が完了するとされています。大聖堂の修復は過去何度も行われており、大きなものでは19世紀に建築家ヴィオレ・ル・デュクによる、主に尖塔部分などの修復がおこなれています(屋根に鎮座するキマイラは、彼による設計だそうです)。

■エッフェル塔

鉄の魔術師とも呼ばれた、ギュスターヴ・エッフェルによる建築です。今ではすっかりパリを代表する建築になりましたが、1889年にできた当時は、それまでの石造りの歴史ある街並みに、突如現れた無骨な鉄塔に、非難する人々も沢山いたそうです。

時代とともに変わり続けた街は、必ずそのような壁に当たるものだと思います。今のパリに、エッフェル塔を非難する人はあまりいないでしょう。

そんな新しい時代を切り開いたエッフェルの情熱的な生き方が、映画「エッフェル」で描かれています。ぜひチェックしてみてください。

なお、ギュスターヴ・エッフェルはアメリカの世界遺産自由の女神像の内部鉄骨の設計にも携わっています。

2008年撮影

■コンシェルジュリー

もとはカペー王朝時代の王宮として建造されましたが、監獄として使われるようになり、有名な話ではマリー・アントワネットヴェルサイユ宮殿のページも参照ください。)が処刑されるまで収監されました。今ではシテ島の観光名所にもなっています。

2008年撮影

■ルーブル宮殿

現在は美術館ですが、かつてはフランス王の居城として建造されたものです。時代とともに増改築され、最近のものではガラス張りのピラミッド部分がそれにあたります。映画「ダヴィンチコード」でも撮影に使われ、特にこのガラス張りのピラミッドは最期の重要なシーンで使われました。

この映画で登場するダ・ヴィンチの作品「モナリザ」をはじめとし、先史時代から近代までの様々な美術品が収蔵されています。

2008年撮影

■サント・シャペル

コンシェルジュリーと同じくシテ島に位置し、またカペー王朝時代は王宮でもあった礼拝堂です。高さを演出し、また壁面にはステンドグラスを多用した建築はゴシック様式の特徴。

ステンドグラスの多くは13世紀に造られたもので、基本的には左から右、下から上へと見ていきます。15枚のステンドグラスには聖書に書かれた内容が1,113場面あるのです。内容は創世記からキリスト復活までの歴史にあたり、最後の15枚目にはコンスタンティヌス1世の母がエルサレムにて聖遺物を発見したとするストーリーが書かれています。

サントシャペルはキリストの受難と関連する聖遺物、茨の冠など多くのものを収蔵し、礼拝するために造られたとされています。

提供写真

時代とともに様々な建築が生まれ、今のパリに至ります。映画「ミッドナイト・イン・パリ」では、そんなパリの街並みが舞台になっています。これから行く人も、もう行った人もぜひ映画をチェックしてみてください。

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