ムザブの谷(アルジェリア)

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M’Zab Valley (Algeria) OUV (ii)(iii)(v)

1982年世界遺産登録

■砂漠にオアシス、高度な水利技術をもった人々

アルジェリア北部、サハラ砂漠の涸れ谷(ムザブの谷)にある五つの街、ナツメヤシのオアシス、そのほかモスク等の建築群、計27件が世界遺産に登録されています。

ここは9世紀頃からイスラムのイバード派ベルベル人が住みはじめ、11世紀始めカルダイアを中心とする五つの街を築き、定住していきました。

特徴的なのは、頑強な防護壁に守られた市街には、先端が王冠状のモスクや、立方体の家屋が密集している点です。

観光客は簡単には入れないようで、地元民との同行が必要だそうです。

ここは砂漠地帯なので、貴重な水を効率的に利用する必要があります。市街地には約3,000の井戸があり、地下水をうまく活用する水利システムを作り上げました。これによってナツメヤシを中心とする作物を育て、オアシスのような農園を作り上げたのです。

こうした環境と人々の生活が見事に調和して広がってきた伝統的集落・街として登録基準のⅲとⅴが認められました。

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■パブロ・ピカソに始まり、ル・コルビュジエにつながる美術・芸術感

20世紀になってパブロ・ピカソの絵画『アヴィニョンの娘たち』によって先鞭がつけられ、キュビズムとも呼ばれるようなっていった美術・建築・芸術の様式は、まさに立方体のムザブの建築にはピッタリでした。

キュビズム的な建築造形とユニークな景観を誇る都市計画は、ル・コルビュジエなど現代の多くの建築家を魅了しています。

例えば5つの街の一つ、エル・アティフには、Mosquée de Sidi Brahim というモスクがありますが、塔・ミナレットや礼拝所の小窓から差し込む光が、シンプルな壁面や内部を照らします。

まさにその様子をヒントに、ル・コルビュジエは世界遺産「ロンシャン礼拝堂」を完成させたとされています。このように文化や芸術が伝播した点、登録基準ⅱも認められています。

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