イスタンブール歴史地域(トルコ共和国)

2011年撮影

Historic Areas of Istanbul (Turkey)  OUV (i)(ii)(iii)(iv)

1985年世界遺産登録 2017年軽微な変更

■キリストとイスラムが共存する境界

トルコ最大の都市イスタンブールの歴史を紐解けば、古代ギリシャ時代はビザンティオン、ローマ時代にはコンスタンティノープルと改名し、東西分裂後のビザンツ帝国時代には首都機能となり、16世紀にはオスマントルコによる支配下に。

時代とともにギリシャ、キリスト、そしてイスラムの文化が交流し、大きな破壊はなく元の文化や建造を活かしながら進化していったため、いつしか他の都市には見られない、アジアでもありヨーロッパでもある、キリストでもイスラムでもある独自の街に発展しました。

世界遺産には4つの区画に分かれて登録されています。

①Sultanahmet Urban Archaeological Component Area of World Heritage Site

最も海側に面した広いエリアが資産範囲となっており、観光地としても人気の建造物が残っています。

■アヤ・ソフィア

2011年撮影 ドーム天井はキリストの建築、左右と奥にある4本のミナレットはイスラム建築

現存するのは6世紀に再建されたキリスト教における大聖堂であり、かつビザンツ建築の最高傑作ともいわれています。

特にビザンツ様式の特徴であるドーム天井は直径31mにも及ぶ大きさ。当然ながらその重さに耐えるために側廊には大きなバットレス(控室)を設置することになり、全体として広大な内装になりました。

ビザンツ様式についてはコチラも参照ください。

一方でオスマントルコの時代にはモスクとして使われたため、15世紀には4本のミナレットが加えられ、内部にはイスラミックな円盤が付けられるなど、イスラム建築へと変わっていきます。

戦後は博物館として機能してきましたが、2020年7月、トルコ政府、エルドアン大統領はモスクに戻すという判断を下したニュースが流れました。24日金曜日、イスラム教の金曜礼拝が86年ぶりに行われました。これにより実質的にモスクになったと言えましょう。

2011年撮影 ドーム内部。イスラム文字の書かれた大円盤が随所に。写真奥にバットレスも見える
2011年撮影 最大のドーム天井は直径31m 高さも55mだとか。
2011年撮影 『キリストと皇帝コンスタンティノス9世・ゾエ夫妻』のモザイク画

■スルタンアフメト・モスク(ブルーモスク)

オスマントルコ帝国の14代皇帝(スルタン)であるアフメト1世の命により、17世紀に造られた、こちらは正統なモスク。内装は青色のイズニック・タイルで飾られ、その卓越した美しさからブルー・モスクとよばれています。

2011年撮影
2011年撮影
2011年撮影 内部のイズミックタイルが美しい。

内装にも青いイズミックタイルが施され、高い天井から吊るされた円形に広がる照明は、中心に地球、ランプが星々の天体を表しているのだとか。天文学や物理学に精通していたイスラムだからこそのデザインと思われました。

とにかく息をのむ美しさとはこのことだと感じたモスクです。

■トプカプ宮殿

15世紀にメフメト2世が命じた宮殿で、歴代の皇帝(スルタン)が居住したとされています。とにかく広大な敷地で、数百年にわたって増築を繰り返された宮殿建築が残ります。もともと住居としての後宮(ハレム)は別の場所にありましたが、スレイマン1世の時代にはここに移されました。

■地下宮殿

アヤ・ソフィアの広場の西側にある貯水池は、現在公開されている街最大の貯水池となっていて、まるで宮殿のような内装になっていました。

造られたのはビザンツ帝国時代だそうで、街が襲撃をうけて城壁の後方に攻防線を張ったときに、水を提供する為に造られたそうです。なんでもコンスタンティノープルの全市民に2週間以上水を供給できるほど。

ちなみにこの貯水池は、映画『007 ロシアより愛をこめて』の撮影場所として使われたそうです。

柱頭に飾りのあるコリント式の列柱と、メドゥーサの逆さの頭が印象的でした。

2011年撮影
2011年撮影

②Suleymaniye Mosque and its Associated Component Area of World Heritage Site

■スレイマニエ・モスク

オスマントルコの10代スルタンである、スレイマン1世の命により16世紀中頃に建設されました。建築家もトルコ随一でオスマントルコ時代における最高傑作と称されるようですが、個人的にはブルーモスクの方が美しく感じました。

小窓を多く設置し、光を多く取り入れるようにしています。窓のステンドグラスはヴェネツィア共和国(詳細はコチラ)より取り寄せたヴェネツィアン・ガラスを用いており、交易のあった証になっています。

2011年撮影 スレイマニエ・モスク

天井には灯りのススが溜まるそうですが、なんとこのススは聖典コーランを書くインクの原料!ススを香辛料と混ぜ、小瓶に詰め、ラクダに括り付けるそうです。そうするとラクダの歩行に合わせて小瓶が揺れ、絶妙に混ざってインクができるのだとか。夢のある話ですね。

③Zeyrek Mosque (Pantocrator Church) and its Associated Component Area of World Heritage Site

4つのコアエリアの中では最小ですが、ビザンツ帝国時代の修道院がオスマントルコによってモスクに変えられたゼイレク・モスクが含まれます。

④Istanbul Land Walls Component Area of World Heritage Site

4つのコアエリアの中で最大の面積を持ちますが、それはビザンツ帝国時代の二代目皇帝テオドシウス2世による、現在約6km近い城壁が含まれているためです。城壁は古くはローマ時代から造られ、様々な皇帝の命によりその名を冠した城壁の名前が付けられては増築されていったため、セウェルスの城壁、コンスタンティヌスの城壁、テオドシウスの城壁などと呼ばれるようです。

コメント

  1. ふうちゃん より:

    今日は、ブログランキングから来ました。

    イスタンブール、非常に興味を持っている都市です。
    海外は10回前後行っていますが、欧米と東南アジアばかりなので、東洋と西洋が交わるイスタンブールは心惹かれます。とても楽しく拝見しました。

    また、のぞきにきます。

    • 和隆 より:

      ふうちゃん様>昨年に続き今年もご来訪誠にありがとうございます!

      ふうちゃん様のブログも拝見させていただきました。
      西葛西はなかなか訪れる機会がないですが、グルメ情報は参考にさせていただきたいです。
      トルコも地元料理はとてもおいしかったです、世界三大料理ともいわれるだけあるなと感じました。
      落ち着いたらぜひ渡航をおすすめします!

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