ヴェネツィアとその潟(イタリア)

提供写真

Venice and its Lagoon (Italy)  OUV (i)(ii)(iii)(iv)(v)(vi)

1987年世界遺産登録

■海上都市として栄えたヴェネツィア共和国

アドリア海の約120の小島の上に造られた水の都。176の運河と約400もの橋が島を結んでいますが、7世紀頃から街を形成しつつ、8世紀にはヴェネツィア共和国として独立していきました。

9世紀から12世紀にかけては他にもピサ、ジェノヴァ、アマルフィ等の海洋都市国家が栄えた時代です。中でもこのヴェネツィア共和国は1797年まで1000年以上続いた歴史上最も長い共和国の一つになりました。

ヴェネツィアはイタリアを横断する最も長い川、ポー川の下流に位置します。なおポー川デルタ公園の区画を中心に、「フェラーラ:ルネサンス期の市街とポー川デルタ地帯」として、別途世界遺産が登録されています。

■無数の杭の上に立つ街

提供写真 2011年撮影

世界遺産に登録されているのは、その名の通り、ヴェネツィアの街だけでなく、その潟=ラグーンも含まれます。古くからこの辺りは地盤が緩く、建物が立てられる足場ではなかったため、無数の木製の杭(「ドロミーティ」から産出されるカラマツ)を打ち込み、石灰岩(イストリア産のため、イストリア石とも)を上に積むことで、現在の街の地面を形成しています。

文字通り海上都市なのです。

近年は観光公害として大型客船や多くのクルーズにより、耐水性の高いこの石灰岩よりも高い位置に波が押し寄せることによって、杭よりも上の地盤が緩んでいる状況にあるとされています。

さらにまた温暖化の海水上昇によって高潮が発生するケースが増え、このままでは街全体が海に沈むことが危惧されています。そのためアドリア海との間に可動式の防潮堤を設ける「モーゼ計画」が提案されているそうです。

これはまさに神の救いの手になると言われていますが、環境やラグーナに与える影響が懸念されるため、一部反対の声もあるとも。

■聖マルコ寺院

提供写真 2011年撮影

市の中心にあるサン・マルコ寺院はビザンチン、ロマネスク、ゴシック、ルネサンスなどの建築様式の集大成といえる教会です。特に空から見るとギリシャ十字架をし、丸いドームが乗っている、一見するとビザンツ様式の傑作です。

サン・マルコ寺院は新約聖書の「福音書」の著者とされている聖マルコの聖遺物(遺骸)を収めた建造物でしたが、その元の寺院は焼失してしまい、現在ある建築は別の場所に再建されたものになります。

サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂

提供写真 2011年撮影

もとは17世紀に流行した黒死病に対する守護聖人を祀った聖堂でしたが、その後共和国の守護聖人である聖母マリアに捧げるカトリックの聖堂に変わりました。

建築は華麗な外装をもつバロック様式。特にドーム天井はまるでカトリック総本山のサンピエトロ大聖堂を思わせます。建材には地盤にもなっているイストリア石を使っているそうです。水上からサンマルコ広場へつながる玄関口にもなっており、観光名所にもなっています。

■カフェ・フローリアン

サンマルコ広場には、世界最古のカフェとも称されるお店があります。店の本当の名前は違うようですが、オーナーへの愛称から呼ばれるようなった名称のようですね。

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