アトス山(ギリシャ)

Koprinco LaskofによるPixabayからの画像

※アイキャッチ画像は「Koprinco LaskofによるPixabayからの画像」

Mount Athos ( Greece ) OUV(i)(ii)(iv)(v)(vi)(vii)

1988年世界遺産登録

■厳格なギリシャ正教の聖地。女人禁制は動物にも!?

ギリシャ、エーゲ海に突出した爪のような形の3つの半島のうちの一つは、山地が多く断崖絶壁を形成し、アトス山と呼ばれます。ここはギリシャでありながら、ヴァティカンのよう宗教自治国家に近い、ギリシャ唯一自治が認められている地域です。

ヴァティカンは「カトリック」の総本山と言われるのに対し、ここアトスは「ギリシャ正教」(総主教座はイスタンブールの聖ゲオルギオス教会)の中心地の一つであり、むしろヴァティカンよりも厳格な性格を持っているそうです。

例えばアトス山の入口は基本的に1か所のみ、入山にはパスポートの提示と巡礼事務所に許可証の発行が必要。そして何よりも女人禁制ということで、女性はもちろん、動物も雌はNGという話もあります。

修道院は無料で泊まれるそうですが、電気も無ければ風呂もない。敬虔な正教会の生活、数日なら行ってみたいですが生活するのは現代人には難しそうですね。

■謎に包まれた世界複合遺産

厳格な入山制限により、女性どころかマスコミも厳しく、多くが謎に包まれています。何十年も女性に会わずに一生を終える修道士が多いということから、ここで子供が産まれることは想像できず、どのように何百年も人口を維持しているのでしょうか。

ユネスコサイトには、登録の基準にはおおまかに以下のように書かれています。

登録基準(ⅰ):アトス山の孤立した自然と宗教生活から生まれた、修道院建築やイコン、壁画は傑作である

登録基準(ⅱ):これらの芸術・文化は遠く離れたロシアにも影響を与えた。

登録基準(ⅳ):制限された社会生活で、独自のコミュニティを構築した。教会・病院・図書館などや、sketae(あるいはskete)と呼ばれる修道士たちの共同生活の場所など、ギリシャ正教に見られる独特のコミュニティも含まれる。

登録基準(ⅴ):修道士たちの農業のスタイルは地中海農業として受け継がれていった。

登録基準(ⅵ):特に10世紀以降の宗教的なギリシャ正教の中心地として発展していった点。

登録基準(ⅶ):地中海独特の森林や植物相と、修道士による農業の相互作用によるもの。

とあり、その価値には美術・芸術的な側面と、農業や独自のコミュニティ形成という社会的な側面が述べられています。しかしそれらが表に出ることがほとんどないため、その実際や魅力は多くがベールに包まれていると感じます。

そんな修道院を拠点に、ここでは今も1700人の修道士によって生活が営まれています。

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