Gondwana Rainforests of Australia (Australia) OUV (viii)(ix)(x)
1986年世界遺産登録 1994年範囲拡大
■ゴールドコーストは海より山!古代大陸にあった太古の森
オーストラリア東部の沿岸沿いの都市ゴールドコーストには、美しいビーチと、ビーチ沿いにも関わらず高層ビルが平行して林立する都市とが一つになった、リゾートに欲しいものが揃っています。
サーファーズパラダイスとして知られるほど、サーフィンのメッカともなっていますが、一方で日本人に意外と知られていないのが、街を挟むようにしてビーチと反対側に位置する、西側の山々、ヒンターランド。
実はこの山々こそが、オーストラリア大陸の祖先である、ゴンドワナ大陸を今に残す世界遺産なのです。
今から約2億年前に始まったとされる大陸移動説。かつてはローラシアと呼ばれる北部大陸と、ゴンドワナと呼ばれる南部の大陸が存在しました。
ゴンドワナ大陸にはアフリカ・中東・南アメリカ・インド・南極・オーストラリアやニュージーランドが一つになって含まれていました。
南極とくっついていた時期までは100%が多雨林で覆われていたとされていますが、南極部分は南下すると同時に氷の大地となり、オーストラリア部分は北上するにつれて赤道に近づき、乾燥化が進みました。
乾燥によって自然発火することで種を地面に落とし、子孫を反映させるユーカリ属や、子孫を持ち運びしやすい有袋類が進化してきたのです。
今は大陸の森林面積はわずか5%しかなく、さらにゴンドワナ時代から続く多雨林はたったの0.3%にまでなってしまいました。その0.3%に、オーストラリアの植物の半分に相当する500種、希少種、絶滅危惧種が生息しています。
そんな古代大陸のあった太古の植物が今なお保存されている点が世界遺産として評価されました。
■41のコアエリアを含む多くの国立公園
世界遺産に登録されているのは41のコアエリアを含み、多くが国立公園に指定されていますが、ここではその一部と、そこで見られる植物相を紹介します。
<ウーランビン( Mt.warning )国立公園>
世界遺産に登録された古代種が残るエリアは、2000万年前の大噴火によって大地が再形成されたことに始まります。噴火によってできたのはウーランビン山であり、そこで出た溶岩はクイーンズランド州とニューサウスウェールズ州に跨って流れ出し、外輪山を形成、それが今にみる、ヒンターランドの山々に変化します。
数百万年かけて蘇って生い茂ったゴンドワナ時代の大自然であり、さらにウーランビン山はアボリジニにとっての聖地でもあり、「山の長」を意味するそうです。
ここはオーストラリアで一番最初に朝日が当たるとされ、かつてキャプテンクック(ジェームスクック)が航海の際に、「山が見えたら陸地が近い、浅瀬になるので気をつけろ=warning」ということで命名されたとか。
<スプリングブルック国立公園>
australian geographicより引用:https://www.australiangeographic.com.au/topics/science-environment/2016/06/lighting-the-night-glow-worms-around-australia/
昼間は滝や森林の間を歩くトレッキング、夜は神秘的な「土ボタル」ツアーが人気の国立公園。世界遺産に登録されている上に、南半球でしか見られない土ボタルを見ることができる希少なエリアのため、入園には厳しい制限が課されています。
様々な多雨林とユーカリ林から形成された国立公園で、スプリングブルック高原地区、ナチュラルブリッジ地区、マウントクーガル地区の3つに区分されます。
<ラミントン国立公園>
ウーランビンの噴火の外輪山の一つであり、観光地としてはグリーンマウンテン(山ではなく人名だそう)にオーストラリア人に人気のリゾート施設オライリーズ・レインフォレスト・リトリートがあります。
このリゾートを起点として、樹齢1000年超のレッドシダーと呼ばれる巨木や、優美なユーカリの木、そして樹齢2000年を超える南極ブナなどを見ながらトレッキングすることができます。
また、子供の冒険心をくすぐるツリートップウォークなども楽しめます。