日本の神社建築

2020年12月撮影 本社

私も含めて多くの日本人が、年始の初もうで以外に神社やお寺に赴く機会はなかなか少ないのではないでしょうか。さらには神社とお寺の違いも良く分からないという方も多いと思われます。

それには信仰心の薄れもあるとは思いますが、現代において神社とお寺が融合したものは多いですし、かつて神仏習合、その後神仏分離令という政治的な歴史もあった日本において、分けて考えることが難しいのかもしれません。

ここでは神社における”建築”を簡単にまとめ、せめて初もうでの時に、あるいは世界遺産を訪問する時に、少しでも神社自体を意識することができればと思います。

広義の境内の構成は大まかに上記のような形が多いです。鳥居があるのは神社の特徴ということは多くの方がご存知でしょう。他にも阿吽の狛犬や、燈篭はイメージされやすいと思います。

世界遺産に登録されている「厳島神社」の鳥居は特に特徴的で、海に自立した形で存在します。

また自然の中に佇むものが多く、世界遺産の浅間神社のほぼすべてが背景に杉の森があり、京都の「下鴨神社」には”糺の森”が、「春日大社」には”春日原始林”があり、世界遺産の範囲に含まれます。

神門をくぐった先の神の領域には、本社があり、年始の賽銭の際には行列ができることもありますが、そこは多くが拝殿と呼ばれ、ご神体が祀られているのはその奥の本殿という構造がほとんどです。

本殿と拝殿を繋ぐのが廊下であったり、間(幣殿と呼ばれる部屋)であったり、その他祭神を祀ったりする摂社など、様々な構造物があります。

2020年12月撮影 本宮浅間大社 右の拝殿と左の本殿が幣殿で繋がっている 

厳島神社」はこれらの社殿が渡り廊下で繋がる”寝殿造り”の特徴を有し、「日光東照宮」は”石の間”と呼ばれる幣殿をもつ”権現造り”の特徴を有します。

社殿自体の造りは時代と共に少しずつ変わっていきました。下記に二つ例をあげます。

神明造りは伊勢神宮に見られる古来からの形式です。図は省略していますが、高床式で木材の上に立っていて、どちらかというと色が少なく地味な印象です。大和時代の高床式住宅のイメージでしょうか。

流れ造りは石段の上に立つものが多く、「宇治上神社」の本殿は覆屋と呼ばれる一つの建物の中に、3つの神社が入っており、それぞれ間が1つの”一間社流造り”です。

2019年撮影 本殿内部 確かに3つの神社が!

本殿の特徴として、「富士山本宮浅間大社」は、写真右のように二階建て構造をした、他に類を見ない独特の造りをしていて、あえて”浅間造り”と呼称するそうです。二階部分には柱が4本見えますので、3間社流造りの浅間造りとなるのでしょうか。

2020年12月撮影 本社 右が本殿

神社は稲荷信仰や浅間信仰、住吉信仰、伊勢信仰など信仰によっても構成する建築が異なり、建築物は時代によって傾向が異なり、さらに仏教文化との相互作用によって特に屋根の形も大きく異なります。

賽銭を入れる前に、本殿はどこなのか、まず探してみることからスタートしても面白いと思います。

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