厳島神社(日本)

2009年撮影

Itsukushima Shinto Shrine ( Japan ) OUV(i)(ii)(iv)(vi)

1996年世界遺産登録

■神道・仏教ともに重要な自然背景と一体化した神社建築

瀬戸内海・宮島に浮かぶように佇む厳島神社は、背景の弥山と一体となった景観を含め、平清盛の卓越した発想力に基づくものとされています(登録基準ⅰ)。

神社は日本古来の神道、八百万神(やおろずのかみ)と表現される通り、万物に神が宿る、多神教・そして自然信仰から生まれた宗教施設。弥山を含めた自然崇拝を現す景観設計の特徴がよく表れています(登録基準ⅵ)。

神社は平安時代の貴族住宅様式「寝殿造り」を取り入れており、住宅様式を宗教施設に取り入れ、各地に広めていった価値観の交流も見て取れます(登録基準ⅱ)。

そんな神社も火災によって焼失したことがあるものの、平安・鎌倉時代の創建当時のままに再現され、今に伝える建築様式の重要な発展段階であった点(登録基準ⅳ)も、評価されました。

■資産範囲

資産範囲は下記の通り、神社とその周辺の海域、そして背景の弥山となり、周辺観光地域は除外されています。

<厳島神社>

593年創建とされ、古くから宮島全体が御神体であり、遠くから拝むのがしきたりだったそうです。厳島神社が現在の姿になったのは1168年、平安末期。

本社は本殿と拝殿を「幣殿」と呼ばれる社殿でつながれていて、この幣殿がない神社や、世界遺産「東照宮本社」のように一段低い部屋となる「権現造り」の特徴を持つものもあります。

2009年撮影 中央に祓殿と、平舞台への渡り廊下

本社の先に写真の祓殿があり、その先に平舞台が海に面する形で位置します。また、参拝の入口奥には客神社もあり、これらが渡り廊下で繋がれているのが寝殿造りの特徴です。

なお、客神社も本殿と拝殿の間に幣殿をもつ構造です。

2009年撮影 参拝入口。床が横に板を重ねた形になっている。

海の上に立つため、当然台風や高潮に弱く、鳥居や舞台などは何度も修復されています。一方で被害を最小限にするため、床は木の板が浮かぶように工夫されていて、写真の通り横に板が敷き詰められた形になっていました。

<弥山原始林>

弥山は1929年に天然記念物に指定され、またモミなどの針葉樹といった植生豊かな山です。古来より御神体として崇められてきた歴史を持ちますが、806年に空海によって仏教寺院を創設する”開山”となります。

空海と言えば真言密教です。ここ弥山は真言密教の修験道としての場になったとされています。広く仏教(やヒンドゥー教等)では世界の中心にある山を須弥山と呼ぶことから、弥山という名になったともいわれているようですが、神道にとっても仏教にとっても重要な山になったわけです。

弥山には不消霊火堂という、空海が宮島で修業した際に焚いた護摩の火がありますが、なんと1200年消えることが無いのだとか。また、世界遺産「八幡製鉄所」の溶鉱炉の火だねになったとも・・・本当かな。

2009年撮影 不消霊火堂

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