ポルト歴史地区(ポルトガル)

Cristina MaciaによるPixabayからの画像

※アイキャッチ画像は版権フリー「Cristina MaciaによるPixabayからの画像」

Historic Centre of Oporto, Luiz I Bridge and Monastery of Serra do Pilar ( Portugal ) OUV(iv)

1996年世界遺産登録

■海とともに発展してきた1,000年の歴史

ポルトガル北部、ドウロ川河口を見下ろす山腹に沿って、ポルト、あるいは伝統的に”オポルト”と呼ばれる街があります。

リスボンに次いでポルトガル第二の大きさの都市ポルトのうち、世界遺産の英語名にある通り、中心部と、ルイス1世の橋と、セラ・ド・ピラール修道院が、まとめて1つの歴史地区として世界遺産に登録されています。

ポルトの歴史は古く、5世紀のローマ時代に遡ります。中世の時代にはスペイン同様、やはりイスラム勢力によって支配されるも、レコンキスタによってキリスト教徒の街に戻り、14~15世紀には大航海時代に突入。ポルトは有名な航海王子エンリケの生誕の地でもあります。

18-19世紀には港から輸出されたワインが盛んになり、ポートワイン名を馳せることになります。このワインは同じドウロ川沿いにあるブドウ畑で採れたもので、「アルト・ドウロのワイン畑」として別の世界遺産に登録されています。

18世紀後半にはアイキャッチ画像の「ドン・ルイス1世の橋」が建造されました。設計には、あのエッフェル塔の設計、ギュスターヴ・エッフェルの弟子が携わったそうです。現在上層は歩行者とメトロ用に、下層は自動車と歩行者用になっています。

そんな長きにわたり、海・川を通して文化が発展してきた街並みとして、登録基準ⅳが認められました。

■アズレージョ美しい建築

世界遺産に登録されているエリアは、主に14世紀に造られた市壁の内側です。フェルナンド王の市壁と呼ばれるその壁の起源はローマ時代にまで遡ります。

Dorothée QUENNESSONによるPixabayからの画像 ポルト大聖堂

ポルトの大聖堂」は街で最も古い歴史を持ちますが、時代とともに増改築されています。ファサードは簡素な石造りに見えますが、どっしりしたロマネスク様式に、左右2塔の天井にはドームが見られます。中心のバラ窓はゴシック様式によく見られるステンドグラスの窓で、14-15世紀にゴシック様式の回廊など改築されました。

大航海時代にはマヌエル様式、その後はバロック様式の特徴も取り入れられ、ほぼ原形が無いのではないかと言われています。ゴシックの回廊は”アズレージョ”とよばれる装飾タイルが美しいことで有名です。

Dorothée QUENNESSONによるPixabayからの画像 カルモ教会

アズレージョはムーア人を通してもたらされた、ポルトガル独自の装飾タイルを指します。世界遺産のエリアに含まれる「カルモ教会」の側面には写真のように美しい外観をもたらします。カルモ教会は18世紀に造られた比較的新しい教会で、カルメル派の教会です。アズレージョの面積は国内最大級とも言われています。

また、同じくエリア内にある「サントイルデフォンソ教会」のファサードにもアズレージョが見られます。

アズレージョタイルは大航海時代、香辛料と引き換えにコバルトの原料を交易品として扱われ、アラビア風のアズレージョタイルとして広くアジアまで流れ、それは「マカオ歴史地区」の建築でも利用されています。

レコンキスタや大航海時代によってほかの文化と交差し、独自の技術にしていった点がうかがえますね。

Marcel GnaukによるPixabayからの画像 サントイルデフォンソ教会

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