キト市(エクアドル)

DEZALBによるPixabayからの画像 キト市街

※アイキャッチ画像は「DEZALBによるPixabayからの画像」

City of Quito ( Ecuador ) OUV(ii)(iv)

1978年世界遺産登録

■まるで南米における”西洋のバロック様式の学校”のような街

エクアドルの首都キト。標高2,850 mという非常に高い位置にありながら、遊牧民に始まるその歴史は紀元前にも遡るとされ、特に15世紀以降の都市としての発展の中でも、「旧市街」とされる地域が世界遺産に登録されています。

世界遺産の登録物件としても古く、世界で最初に登録された12件のうちの一つでもあり、同じくエクアドルとしては「ガラパゴス諸島」も登録されました。

15世紀末にインカ帝国の支配地域となりますが、16世紀にはスペインの入植によりインカ以前の街並みはほとんど失われたようです。スペイン入植後は、独立広場を中心として碁盤目状に街が整備されていき、キリストの文化が持ち込まれた建築が立ち並ぶようになります。

現在旧市街で見られる建築は17世紀にバロック様式として建築された「サント・ドミンゴの修道院」、同じく17世紀にドイツ人建築家による着工とイタリア人の建築家による18世紀の完成に至る「ラ・コンパーニアの教会」や、イタリアやスペインが融合したバロック式の「イエズス会大学」など、往時の建築です。

こうした街並みは1917年の地震にもかかわらず、ラテンアメリカで最も保存状態が良く、最も変化の少ないものとして評価されています。

世界遺産委員会では毎年のように保全状況の報告がされていて、主に旧市街を含むキトの開発に関わる案件です。2014 年にはキト市の歴史地区委員会が組織変更し、新たに「2015-2025 年開発及び地域管理のための大都市圏計画」を策定されました。

キトの旧市街は人口減から回復を図るため、歴史的建造物群を住居として再活用する投資を開始し、2017 年には 59 件の歴史的建造物群(236 戸)がこの取り組みの対象となったそうです。

また、サンフランシスコ広場の地下鉄駅の建設があり、 2017 年に終了したものの、広場の敷石はオリジナルの形状に沿って再度敷き詰められたとか。

こうした開発にはイコモスのアドバイザーを招聘し、その意見に全部とは言わないまでも対処しているようです。

植民都市として西洋の主にバロック様式を独自に広げていった(登録基準ⅱ、ⅳ)街並みが世界遺産として評価されたものの、今を生きる地域にとっては住民がさらに住みやすい環境に変化していくことも必要であり、その両方を活かすことの難しさを痛感します。

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