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Wachau Cultural Landscape ( Austria ) OUV (ii)(iv)
2000年世界遺産登
■ドナウ流域に広がる中世の街並みとブドウ畑が織りなすメルヘンな景観
オーストリア中部、全長約3,000kmにおよぶドナウ川の中でも特に美しいとされるヴァッハウ渓谷、約30kmの流域が世界遺産に登録されています。流域にはベネディクト会メルク修道院と古都クレスムが含まれ、今では滅多に見られない自然と文化を巧みに調和させた景観が広がる渓谷です。
渓谷は観光クルーズの人気スポットになっており、上流のメルクから乗ると早く、デュルンシュタインまで下り、そこからバスでクレムス、そして鉄道でウィーンに戻るルートが一般的。
メルクはスラヴ語で”ゆるやかな川”を意味し、ルネサンスの面影の残る街が広がります。丘の上には街を見下ろすようにバロック様式の「メルク修道院」があります。
修道院は”横にのびた摩天楼”あるいは”信仰の要塞”などと呼ばれ、金色に輝く豪華な礼拝堂や、テラスから望むドナウのパノラマも必見です。また、ハプスブルク家、女帝マリア・テレジアの時代、マリー・アントワネットが宿泊したことでも知られています。
もともとはベネディクト会の修道士に与えられた城であったようですが、その後12世紀頃には図書館が写本生産所に拡大していったそうです。18世紀にはバロック様式の現在の建築に変わっていきますが、中世の貴重な書籍が10万冊も残ることで修道院そのものも保存され、現在も修道院としての活動が続けられているそうです。
クルーズの後半、デュルンシュタインは、十字軍遠征の帰路にウィーン付近で英国王リチャード獅子王が幽閉されたとされるクーエンリンガー城の跡地があります。王の身の上を案じた騎士ブロンデルは吟遊詩人に身をやつして王の好んだ歌を唄いつつ諸国を巡ったそうです。デュルンシュタインの城にさしかかったところ、同じ歌で応える声があり、ついにリチャードを発見したという伝説になっています。
また町の中心には、18世紀に建立された水色の鐘楼が際立つ聖堂参事会修道院等があり、歴史とロマン、そしてメルヘンな建築が魅力的です。
ヴァッハウ渓谷は建築、都市計画、ブドウ栽培を中心とする耕作地など、先史時代以来の人類の営みと進化の足跡が良好な状態で保たれているとして評価されました。旅の終わり、クレムスには、旧市街の真ん中に、ドミニコ派修道院の建物をそのまま転用したワイン市立博物館があり、昔からこの地方の重要な産業だったワイン作りについて学ぶこともできます。
天井のフレスコ画も含め、図書室としての美しさはピカ一。
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