※アイキャッチ画像は「evondueによるPixabayからの画像」
Val d’Orcia ( Italy ) OUV(iv)(vi)
2004年 世界遺産登録
■人が創り上げた理想的なトスカーナの農村風景
イタリア中部トスカーナ州、シエーナの農耕田園地帯のオルチア渓谷が世界遺産に登録されています。
春から初夏にかけて、青々と茂るのは牧草、そして小麦畑。オルチャ渓谷ならではの緑が一面に広がり、街道沿いには糸杉という畑の境界線の役目として植えられ、農家や要塞、塔などが点在した美しい景観が特徴です。特にワインのブドウ畑やオリーブ畑等はイタリアそのものをイメージさせます。
しかしこの地域、もともとは純度の高い粘土質の土壌で、とても小麦やブドウ畑等には適していませんでした。
14~15世紀頃、都市国家によって植民地化された際に再開拓され、300年かけて土壌改良されてきたのです。現在ではこの景色の中で観光客がワイン農家やオリーブ農家と触れ合うアグリツーリズムが人気を博しています。
また渓谷を横断する道は中世にローマやエルサレムへの主要な巡礼路として使われ、多くの巡礼者や商人たちが行き交いました。ルネサンス期には絵画の題材としても使われ、芸術的にも優れた景観が生み出されます。
特に同じくトスカーナの世界遺産「ピエンツァの歴史地区」から見下ろすオルチア渓谷は絶景です。
まさに自然と人間の共同作品として、文化的景観が認められた世界遺産に登録されました。
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