昌徳宮(大韓民国)

2015年撮影 敦化門

Changdeokgung Palace Complex ( Republic of Koria )  OUV (ii)(iii)(iv)

1997年世界遺産登録

■人気韓国ドラマのロケ地となった宮廷

ソウル市内にある5つの宮廷のうちの一つ、昌徳宮は、宮廷のとおり非常に広い敷地をもち、韓国の時代劇を思い起こすような歴史ある場所です。

時代は中世、15世紀の韓国、朝鮮王朝3代目、太宗により、同じくソウルにある景福宮の夏の離宮として造られました。

同じく朝鮮王朝時代において、宮廷女官の史実に基づくストーリーが日本でも人気になった韓国ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」のロケ地にもなったそうです。

2015年撮影 貸衣装を見ると雰囲気がでますね
2015年撮影 敦化門

敦化門は現存する最古の木造二層式の正門。昌徳宮の門の多くが火災により一度焼失していますが、この門は焼けずに建築当初のまま残るとされています。確かに他の門と比べて見た目に古さが伝わりました。

瓦の端を見ていただくと、小さな像が付けられています。「西遊記」の登場人物である三蔵法師・孫悟空・猪八戒・沙梧浄などだそうで、王宮の中に雑鬼や凶の気が入って来ることを阻むための意味で飾られたそうです。

なお、ガイドによると、この門をはじめ、緑や赤・青など様々な極彩色で彩られていましたが、ここで使用される色の種類や数は、身分によって使うのに制限があったそうです。

2015年撮影 仁政門
2015年撮影 仁政殿
2015年撮影 仁政殿内部

仁政殿は昌徳宮の正殿であり、まさに王がそこに座した場所です。重層入母屋造りという、上段の屋根はさらに2つの勾配をもっており、上の部分が切妻屋根(長辺側から見て前後2方向に勾配をもつ)で、途中から寄棟造(前後左右四方向へ勾配をもつ)になる造りを言います。

日本では同じく世界遺産では醍醐寺本堂、仁和寺金堂などがそれにあたり、日本や韓国をはじめとした神社・仏教建築で共通してみられる建築様式です。

一方で、仁政殿の内装にはカーテンやシャンデリアなどのインテリアは、写真の通りヨーロッパから輸入されたものが使用されていました。

ところで、歴史の教科書にも登場した、1592年の「文禄の役」。豊臣秀吉の派遣によって国王一家が逃亡すると、民衆の略奪等によって火災と破壊によって景福宮などとともに昌徳宮も多くを消失しました。

敦化門は上述した通り火災を免れたため、最古の門となっていますが、このように火災による焼失は日本と同様、木造建築ならではのリスクでした。

仁政殿の入口近辺に大きな水がめがあるのですが、これはこういった火災を恐れ、一種の火除けの意味が込められているとか。水瓶がどの時代からあったのかは分かりませんが、一度消失したことから再建時に追加されたのかもしれません。

2015年撮影 宣政門
2015年撮影 宣政殿の外

宣政殿はまさに王が執務をしていた場所。そのわりには小さい印象でした。

宣政門の外から見ると、宣政殿の屋根だけ瓦の色が異なります。このように重要な機関の屋根は青色の瓦が使われており、ほかの屋根と色を区別しているそうです。複雑に入り組む宮殿だからこそ、ランドマークになったのかもしれません。

時間がなくて訪れることができなかったのですが、宮殿の北に広がる李朝時代の王朝庭園である後苑は秘苑と呼ばれ、これまた広い敷地になっており、韓国における造園技術の傑作とされています。56000種以上の植物があり、世界遺産登録にはこの庭園も重要な価値をもちました。

<登録基準>

(ii): 韓国における建築・造園・景観設計そして芸術の発展において重大な影響を与えた

(iii): Changdeokgung かつて栄華を誇った朝鮮王朝時代の建築や景観設計が見て取れる

(iv): 建築と造園、特に自然や環境との調和をもってされた点が東アジアにおける顕著な例となっている

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