ヴェガオヤン-ヴェガ群島(ノルウェー)

Svein K. Bertheussenによるfickrからの画像 https://www.flickr.com/photos/billis/51402310848/

※アイキャッチ画像は「Svein K. Bertheussenによるfickrからの画像」

Vegaøyan – The Vega Archipelago ( Norway ) OUV(v)

2004年世界遺産登録 2017年軽微な範囲変更

■まさにSDGsの体現。人と自然との持続可能な共生。

ノルウェーの中部西側の海沿いに浮かぶ小さな島々、ヴェガ群島。世界遺産に登録されているのは最も大きなヴェガ島の一部と、その北西に広がる海に浮かぶ小さな島々一帯のエリアです。

このエリアは年間の平均気温が低く、陸地面積も小さく、その大地も岩盤でできているため、植物もほとんど育成しない、厳しい環境にあります。

そんな中、1,500年以上前から人が住み続けているのには、人の弛まぬ努力と自然との共生が関わっていました。

植物が育たず、腐葉土ができない大地に、人は海藻を大地に上げて乾燥させ、発酵させることで疑似的な腐葉土を形成します。こうしてできた薄い土壌に干し草を育て、家畜を育ててきたのです。

またこの海藻はホンケワタガモと呼ばれるこの地域を訪れる鳥たちの格好の寝床となり、巣作りを人間がサポートすることで、産卵に適した場所に変わります。こうして巣に遺された毛綿は最高級のダウンになり、なんと1つの巣で採れるダウンは17グラム。「羽の宝石」とも言われるそうです。布団にすると1枚10,000円以上!

こうしてこの地域の人々は漁業やケワタガモの羽毛採取を主とした独自の質素な生活を営み、約10万haにおよぶこの地域には、漁村や波止場、倉庫やケワタガモ飼育場、農業景観や灯台などが自然に解け込んだ文化的景観が広がっています。

人の手で大地を育て、そこに訪れる動物が繁栄し、その恩恵で人の営みが育まれる、こうしたサステナブルな循環が実現している地域なのです。

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