Tower of London (United Kingdom) OUV(ii)(iv)
1988年世界文化遺産登録
◇城塞から造幣局、天文台、銀行や動物園まで!時代に翻弄されたロンドンのシンボル
ロンドン市内、テムズ川のほとりに、11世紀のイングランド王ウィリアム1世が、ローマ時代の砦の跡に建設した塔が世界遺産に登録されています。
ロンドン塔は上から見ると6角形のような形をしており、内部に礼拝堂や宝物庫等をもち、それらを囲むように城壁が6角形で囲む、全体として単一の塔というより城塞に近いものです。
それもそのはず、11世紀にウィリアム1世が外敵から守るために建設を命じたのは要塞でした。当時は木造であったそうです。城塞の内部で最初にできたのがホワイトタワーと呼ばれる中央にある宮殿に近い建物です。
その後歴代の王によって増改築がなされた結果、多くの塔と不規則な六面形の二重の城壁をもつ、要塞のような建築になりました。窓は小さく、重厚な建築は主にロマネスク様式の特徴をもったノルマン建築と言えます。こうした城塞建築はその後のイギリスにおけるモデルとなっていったのです。
また機能としては、城塞のあとは造幣局であったり、天文台、銀行や動物園であった時代もあったそうです。
そして最も有名なのは、監獄として使われていた時代です。
なんとなくどんよりしているロンドンの天候や、烏を飼育しているという風潮もあいまって、監獄のイメージが強く残ってしまうのかもしれません。また、実際に処刑された人も多かったのも大きな要因でしょう。
もっとも有名な話は16世紀のチューダー王朝の時代です。15世紀にエドワード5世とその弟が投獄され、その後16世紀には4人の英国女王が投獄され、そのうち3人(アン・ブーリン、キャサリン・ハワード、ジェーン・グレイ)は処刑され、エリザベス1世は処刑は逃れたものの2週間幽閉されたのです。
なお、下記写真の遠目に見えるタワーブリッジは世界遺産ではありません。