※アイキャッチ画像は版権フリー「Pete LinforthによるPixabayからの画像」
Memphis and its Necropolis – the Pyramid Fields from Giza to Dahshur (Egypt) OUV(i)(iii)(vi)
1979年世界遺産登録
■三大ピラミッド以外にもいろんな形のピラミッドが残るエリア
世界遺産としては「メンフィス地域」「ピラミッド地域」の2か所が登録されています。
古代エジプトは大きく3つの時代に分けられますが、最も古い「古王国時代」、メンフィスという地域は首都に当たりました。なのでこの地域にはかつて王(当時はファラオと呼ばれました)の住居や神殿が多数ありました。
現在のメンフィスには、当時信仰されていた神プタハを祀った神殿や、「新王国時代」に登場するファラオ”ラメセス2世”を祀った神殿など多数が残されています。
一方、カイロにほど近いギザを北端とし、南に縦に伸びたピラミッド地域には、「古王国時代」に造られたとされるピラミッドが多数残されています。
首都メンフィスの人口が増えると、人は近郊に流れていきました。近郊都市サッカラには、”ジェセル王のピラミッド”という、ピラミッドの中では最古(紀元前25世紀ごろ)とされている、階段状のピラミッドが残されています。
また近郊都市ダッハシュールにも、クフ王の父に当たる”スネフェル王のピラミッド」などがあり、これも途中で勾配が変わる屈折した特徴を持っています。
特に保存状態が良いのがギザにある三大ピラミッドと呼ばれる、”クフ王” ”カフラー王” ”メンカウラー王”の近接した3つのピラミッドです。中でも高さ146mのクフ王のものが最大。また、カフラー王の前に鎮座するスフィンクスも構成資産です。
様々な研究がなされているものの、依然まだ知られていない部分もあっていろいろな謎を呼んでいるピラミッド。有名なギザの3大ピラミッド以外にも数も種類も沢山あるのです。
■進むトンネル工事計画
世界遺産委員会では、たびたび保存計画について議論されてきました。実は当遺産は世界遺産が誕生して2年目に登録されたばかりで、「緩衝地域」と呼ばれる、構成資産を守るためのゾーニングが成されていなかった(そういうルールが未だできていなかった)のです。
※緩衝地域と生物圏保存地域についてはコチラを参照
発端はカイロの都市域拡大による交通量の増大に伴い、都市の環状道路を拡大するという話でした。過去何度も報告はあったのですが、2007年の第 31 回世界
遺産委員会では、ギザのピラミッドエリアを横断する道路になるというのです。
この課題に対する解決策を探るため、エジプトは2015 年 7月に、イコモスアドバイザリーミッションを招聘しました。
結果、トンネルを地下に掘って道路を造るという話が提案され、ギザ台地の下に 6~8 車線のトンネル計画がエジプトにより考えられているそうです。
こういった工事に関わる廃棄物の廃棄状態が悪く、環境汚染にもつながる懸念も出ており、トンネルを掘るにしてもまずは世界遺産について規定した法律の整備について検討を進め、「緩衝地域」を設定し、軽微な境界線変更の申請を行うべきであるというのが委員会の見解です。