ケルンの大聖堂(ドイツ)

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Cologne Cathedral (Germany)  OUV (i)(ii)(iv)

1996年世界遺産登録 2004-2006年危機遺産登録 2008年範囲変更

1塔のみで放置された長い歴史をもつ聖堂

正式名称はザンクト・ペーター・ウント・マリア大聖堂。世界最大級の聖堂です。その高さも装飾の荘厳さも一目で心を奪われますが、聖堂が完成するまでにはとても長い年月を要したそうです。

現在の聖堂は1248年に、元あった聖堂が火災で焼失し、再建されたことに始まります。正面のファサードが塔一つ残して16世紀の宗教改革による財政難のために工事がとん挫しました。

再建が始まったのは19世紀に入ってから。完成したのは1880年とされているので、実に600年以上かかったことになります。

完成後も第二次世界大戦で損傷を受けたものの、その後復元には成功しています。さらに1996年に世界遺産に登録されたあとも、近隣に近代高層ビルの建設計画が持ち上がり、一時危機遺産にもリスト入りしました。これも最終的には景観が損なわれるということでなくなり、無事危機遺産リストから外れています。

こうした様々な歴史を持ちながらも今なお、荘厳なたたずまいを維持している大聖堂なのです。

フランス中の聖堂から着想を得た建築

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1248年の再建が望まれた際、ゲルハルト・フォン・ライルが建築家として招かれました。彼はフランスのアミアンやパリ、ブールジュなどの大聖堂を回り、それらの建築様式を模範にし、新しい聖堂を作ることにしたのです。

しかしそもそも当時世界一であった大きさの聖堂ですから工事には時間を要し、フランス・ゴシック様式の内陣が完成したのは100年近く後。さらに財政難のあとに再度建設が始まったのが600年もあとのため、ゲルハルトの存命中での完成は出来なかったことになります。また、その時代は古いゴシックから、ゴシック・リバイバルの時代に流行が変わっていました。

一方1814年に再建が始まったのは、偶然にも西側のもう一つの塔の設計図が発見されたことによるそうです。この設計図があったことで、時代に流されない、オリジナルのゴシック様式で再建がスタートしました。ゲルハルトにとっては本当に幸運なことであったことでしょう。

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