カカドゥ国立公園(オーストラリア)

2018年撮影

Kakadu National Park (Australia)  OUV (i)(vi)(vii)(ix)(x)

1981年世界遺産登録 1987年、1992年範囲拡大 2011年軽微な変更

■最初の住人

オーストラリア北部、ノーザンテリトリー準州には、カカドゥ国立公園があります。公園と言ってもその面積はなんと四国とほぼ同じくらい。また公園にほど近い海に浮かぶフィールド島バロン島を含めた3か所が世界複合遺産に登録されています。

このエリアは4万年以上前から続く狩猟民族アボリジニが暮らし、そして守ってきた大地が続きます。

アボリジニとはアルファベットでは

ABorigines

と書き、文字通りアルファベットの最初の文字ABとオリジン=起源を示し、モンゴロイド(黄色)・ネグロイド(黒色)・コーカソイド(白色)と並ぶ、四大人種の一つ、オーストラロイドに分類されるようです。

4万年以上前と書きましたが、彼らは文字を持たない文化なので、その歴史を詳しく読み解くのは非常に困難です。ただ彼らに共通しているのは、今も昔も、他の狩猟民族とは異なり、かなりオーストラリアの大地と密接につながった精神的拠り所があるという点です。

※オーストラリアとアボリジニの歴史についてはコチラも参照ください。

それが岩絵となって、あるいはボディペイント砂絵が伝承され、伝統や文化につながっていきます。オーストラリアの中でも特にそれらが色濃く残るのがカカドゥ国立公園なのです。

もう一つの側面として、この大地にはユーカリが生い茂り、280種を超える鳥類が集まるような、ラムサール条約湿地にも登録されている水辺も含み、自然遺産としての基準をすべて満たします。

■旅のハイライト

カカドゥ国立公園へは、玄関口となる都市「ダーウィン」から車で出発します。この港町はその名の通り、進化論を唱えた生物学者チャールズ・ダーウィンが訪れたことから命名されたのだとか。

2018年撮影 アーネムハイウェイ

この町から東に140kmほど車でいくと、カカドゥ国立公園の入口(世界遺産のモニュメント)に差し掛かります。ただ、四国ほどの面積なのでここからの道のりもまた長い。

途中、運が良ければアボリジニたちの野焼きも見ることできたり、野生のワラビーたちが道路沿いに沢山現れたり、ユーカリの森の中を通ったり、何もない一本道でも見たことのない景色が楽しませてくれます。

2018年撮影 野焼きの様子

<ウビア>

旅のハイライトの一つが、ウビアという東側のエリアです。ここでは数千年前のアボリジニの壁画、ロックアートを見ることができます。

有名なのは「漁師マブユ」の壁画。これは2000年前は海が近かったことを指しているそうです。 壁画には時期と地域性があるようで、海が近かった時代は魚やワニ、水鳥が多く、海が引いて淡水になった時代にはハスの花などが出てきます。

マブユの壁画(左端の人の形)

ウビアの方は絵をコマに切って漫画のようにしている展開型、次に紹介するノーランジーの方は無秩序に絵が散らばっていて、エリアと時代によって壁画の種類が異なる点が素人でもわかりました。

もう一つ、ここのハイライトは岩山に登って眺める絶景にあります。世界中から集まる観光客は、ここで夕陽が地平の先に沈む景色が目的。

2018年撮影ウビアロック
2018年撮影 ウビアの夕陽

日本から遠く離れたところで、4万年も守り続けたアボリジニの大地を眺めることができるありがたみを感じました。

ただ日が沈むと電灯もないので、真っ暗になる前に下山しないと大変なことに・・。

<ノーランジーロック

ノーランジーロック

ウビアより南下したエリア、ノーランジーロックでは、全く様相の異なる壁画が見られます。

特に有名なのが「ナマルゴンの伝説

伝説自体はアボリジニ以外には詳しく教えてくれないそうですが、壁画自体は骨と肉でできた、まるで透視図のようです。その名も「x線画法」と呼ばれ、この時代にこのような画がかけたことが評価されています。

ナマルゴンの伝説

<イエローウォーター>

ウビアから遠目に見える水辺は、実は川でも海でもなく、大きな湿地帯でした。

周辺は約280種もの野鳥があつまり、ラムサール条約湿地にも登録されている世界有数の湿地です。

ツアーでは朝焼けの静かな時間に、音がほとんどでない静かなボートでクルージングすることができます。

するとそこは野鳥だけでなく、イリエワニをはじめとする123種もの爬虫類、植物も1000種以上生息している、まさに野生の動植物園が広がっています。

2018年撮影 イエローウォータークルーズ1
2018年撮影 イエローウォータークルーズ2
2018年撮影 イエローウォータークルーズ3

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