歴史的城塞都市カルカッソンヌ(フランス)

zippo_1968によるPixabayからの画像 カルカッソンヌ

※アイキャッチ画像は「zippo_1968によるPixabayからの画像」

Historic Fortified City of Carcassonne ( France ) OUV(ii)(iv)

1997年世界遺産登録

■歴史の変遷と修復活動により今なお残る中世の城塞都市

フランス南部、スペインにほど近いカルカッソンヌ地方には、全長約3kmの二重の城壁に囲まれた城塞都市があります。ローマ時代から続く増改築と修復を繰り返し、なお今残る城壁と内部が世界遺産に登録されています。

城塞都市は小高い丘の上にそびえたち、周りにはオード川が流れ、主にロマネスク様式やゴシック様式の城や聖堂、家屋を残すその中世ヨーロッパを代表する景観。人気アニメ「進撃の巨人」で登場する城塞都市のモデルになっていると言われているのも納得できます。

しかし現在のカルカッソンヌに中世の様相を残して観光地にもなっているのには、時代と共に変遷してきた歴史と、「シテ島のノートルダム大聖堂」や「ヴェズレーのサント・マドレーヌ教会堂」の修復にも携わった”ヴィオレ・ル・デュク”という建築家をはじめとした修復・保全活動が大きく関わっています。

古代ローマ時代から築かれた要塞の廃墟を基盤とし、12世紀には円筒や角塔を要所に備えた城壁ができ、内部には家屋や道路が整います。 13世紀にはフランス国王ルイ9世の治世下でこの地方は”アルビジョア十字軍”との戦いの舞台となり、被害を受けることにります。

ルイ9世はその他周辺諸国との戦争を回避するため、城壁の拡大やカルカッソンヌ市民に城外の下町バスティード・サン・ルイの建設を命じ、街の規模を拡大しました(城下町はその後ワインの交易で栄え、観光地にもなっています)。

これ以降大きな戦争の被害は受けることは無くなったものの、一方で城塞都市としての機能が失われ、時代とともに荒廃していきます。そして19世紀に入り、ヴィオレ・ル・デュックに始まる修復・再建運動によりほぼ復元された都市として蘇ったのです。

<城壁>

全長約3kmに52の搭が巡らされています。内側の城壁の一部は、古代ローマ時代のもので、小さな角石と煉瓦の層が交互に積み上げられているのが特徴だそうです。ルイ9世の命をはじめとした歴代の王たちにより外側の城壁が建造され、さらにその外側に空堀が掘られました。

Daniel NettesheimによるPixabayからの画像 コンタル城

<コンタル城>

シテ最後の砦、コンタル城はカルカソンヌ子爵トランカヴェル家により12世紀に建造されました。その後は歴代カルカッソンヌ伯爵の城館として、今は博物館としても営業しています。

jacqueline macouによるPixabayからの画像 サンナゼール聖堂

<サン・ナゼ―ル大聖堂>

11世紀、城塞都市が栄えたころに、教皇ウルバヌス2世によりカルカソンヌの司教座の聖堂となります。ロマネスク様式のどっしりとした重厚な建築ですが、度重なる改築が行われていて、大きなバラ窓や高さのあるステンドグラス等、ゴシック様式が随所に見られます。サン・ナゼール大聖堂は19世紀に教皇レオン3世よりバジリカの称号を受けました。

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