The Trulli of Alberobello (Italy) OUV (iii)(iv)(v)
1996年世界遺産登録
■トンガリ帽子の不思議な屋根
石灰岩の土壌豊かなこのイタリア南部・プーリア地方では、古くからこの素材を使った石造りの家が立ち並んでいます。かつては森に囲まれていたとされ、「美しい木」を意味するこの地域、アルベロベッロ。トゥルッリとはこの不思議な形の家を指します。
トゥルッリは一つの屋根に一つの家、ではなく、一つの屋根に一つの「部屋」で構成されています。この独特の屋根を含んだ住居は、西ヨーロッパにおいて先史時代から継承されてきた建築方法を示している生きた例証とされているようです。
先端にいくほど細くなる屋根は石灰石の小さな平たい石を、モルタルを用いないで固めているというのだから驚きです。なんでも、16世紀~17世紀にかけて、当時の税金は「漆喰で固めた屋根のある家」に課税されたため、節税のためにあえて壊れるような家にしたのだとか・・・。
本島の話かどうかはさておき、初代市長カーサ・ダモーレのトゥルッリはモルタルを用いた現存する最古の建築だそうで、もう家を壊す必要がない時代がきたことを示すためだったともいわれています。
現在アルベロベッロには1,000以上のトゥルッリがあり、中にはホテルにしたり、土産物店にしたり、観光名所にもなっています。世界遺産になってからは住民にとって、2, 3年に1度は外壁等の塗り替えをしないと数万円の罰金が課せられるなど、保全のための制限も受けているとか。
なお、街中にはいくつかの教会がありますが、中でもサンタアントニオ教会は唯一のトゥルッリのある教会だとか。ロマネスク様式とトゥルッリの融合した世にも珍しい教会です。