シラクーザとパンタリカの岩壁墓地遺跡(イタリア)

Peter HによるPixabayからの画像 シラクサ

※アイキャッチ画像は「Peter HによるPixabayからの画像」

Syracuse and the Rocky Necropolis of Pantalica ( Italy ) OUV(ii)(iii)(iv)(vi)

2005年世界遺産登録

■白亜の石灰岩美しい街は古代ギリシャ神話が残る世界

イタリア・シチリア島の東岸、シラクーザ県の県都シラクーザに位置するオルテュギアー島と、ネアポリス等から成るドーナツ型のエリア、そしてパンターリカのネクロポリス、計3つのエリアが世界遺産に登録されています。

シラクーザのオルテュギアー島は歴史が古く、旧市街とも言われるアイキャッチ画像のような地域は観光名所にもなっています。かつてローマの政治家キケロが“最も偉大なギリシャの都市で、あらゆる都市の中で最も美しい”と称えた古代の都市遺跡。

その歴史は古くは紀元前、古代ギリシャに遡り、アテナ神殿、アポロ神殿などオリンポス十二神にちなんだ神殿やギリシャ劇場をはじめ、その後ローマ支配下での円形劇場、要塞などが残されています。古代ギリシャ時代に活躍した自然哲学者アルキメデスの出身地でもあるそうです。

アテナ神殿(シラクーザの大聖堂)は7世紀、それまでのギリシャ式の神殿を聖堂に転用されましたが、現在でもドーリス式の円柱などの神殿構造を見ることができます。本堂のアプス内のモザイク画はノルマン時代からのもの。ファサードは18世紀に再建されたそうです。

こうした美しい白い街はここで採れる石灰岩を利用しており、近辺のネアポリス考古学公園内は石切り場が残っています。17世紀末の地震で採石場跡の天井が崩れ、岩の天蓋が偶然できたことから”天国の石切り場“とも呼ばれるようになったのだとか。

石灰岩は加工・切り出しやすく、シラクーザの古い教会の地下には、迷宮のような墓地が広がっています。元々は、ギリシア人が作った地下水路でしたが、後に古代ローマ人が、墓地に変えたカタコンベが広がっているのです。

こうした地下水路が今なお機能しているのは、ギリシャ神話に纏わる”アレトゥーサの泉“。アルテミスの女神に仕えていた妖精アレトゥーザは、川の神であるアルフィオスに目を付けられます。純潔を守りたいアレトゥーザは女神に願いを請います。願いが聞き入れられ泉に変えられた妖精アレトゥーサが、地中海の底を通ってオルテュギアー島の現在の場所に湧き出たという伝説が残されているのだそうです。

一方パンタリカの岩壁にある古代の共同墓地遺跡は、さらに歴史が古く、紀元前13世紀から紀元前7世紀にかけてのもの。共同墓地の数はなんと5,000以上!シラクーザが都市機能を持つまでに栄えた国がありました。

こうした地中海の歴史が垣間見える点が評価され、世界遺産に登録されました。

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