ピレネー山脈-ペルデュ山(スペイン・フランス)

Lyudmyla KuzmenkoによるPixabayからの画像

Pyrénées – Mont Perdu ( Spain / France ) OUV(iii)(iv)(v)(vii)(viii)

1997年世界遺産登録 1999年範囲拡大

■世界最古の歴史をもつ羊飼いが作り上げた景観

フランス・スペインの国境にあたるピレネー山脈。そのうち標高3500m級のペルデュ山の周辺は特に美しいと有名で、この山から北のフランス側は氷河残る風景、逆に南のスペイン側は温暖な気候で様相が異なります。そしてその国境には「ローランの裂け目」と呼ばれる、まるでファンタジー映画のように山にぽっかりと空いた裂け目があるのです。

そして石灰岩からなるペルデュ山を境に、スペイン側にはヨーロッパ最大かつ最深の2つの渓谷があり、フランス側には3つの巨大な圏谷があり、こうしたダイナミックな自然の中で、かつてのヨーロッパの農業生活様式を反映した農村、牧場、畑地、牧草地、山道などの農業景観が今も残っている点が文化的に評価されました。

特に山での暮らしには羊飼いが欠かせなく、世界最古の羊飼いの歴史を持つとも言われています。険しい山岳では羊飼いはサルト・デル・パストール と呼ばれる長い棒を使って谷を渡ったり、高所へ登ったりするそうで、ここから棒高跳びの競技が発祥となったともされています。

こうした長い歴史の放牧によって、本来ほとんど草木の生えることがない高所で険しい大地でも、緑豊かな景色をつくってきたとして、「文化的景観」が評価されました。

なおスペイン側を流れるガロンヌ川は、このピレネー山脈を源流とし、下流にはフランスのボルドーサンテミリオンへ流れ、ブドウ畑の水流に繋がっているのだとか。これらも世界遺産に登録されているため、世界遺産としての繋がりも垣間見えるのです。

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