バルセロナのカタルーニャ音楽堂とサン・パウ病院(スペイン)

提供写真

Palau de la Música Catalana and Hospital de Sant Pau, Barcelona (Spain)  OUV (i)(ii)(iv)

1997年世界遺産登録 2008年軽微な変更

■イスラム建築とキリスト建築の融合を、新素材で優雅に結び付けた傑作

カタルーニャ音楽堂サン・パウ病院は、いずれもバルセロナにある、モデルニスモの時代を開花させた建築です。モデルニスモとは、19世紀末頃から表現されはじめたフランス・アールヌーボー運動のスペイン版とも言える芸術活動です。

この時代の先端を走ったのが、アントニ・ガウディであり、また当該遺産の建築家である「ルイス・ドメネク・イ・モンタネル」です。

ドメネクはガウディより2年ほど早く生まれ、そしてガウディと異なり上流階級の出身。名建築家でもあり、政治家でもありました。またバルセロナ建築学校ではガウディの教授にもあたりました。

※バルセロナ万博での活躍についてはコチラ

スペインと言えば、歴史上、キリスト教の時代、イスラムの時代、そしてレコンキスタを経て再びキリストの時代と、様々に文化の交流がありました。キリスト教徒はイコンなど、偶像崇拝の信仰がありますが、イスラムはムハンマドのイコンは基本的にありません。その代わりに自然や幾何学文様が使われてきました。

そんな動きのあるデザインと、キリストの荘厳なデザインがドメネクの頭の中で混ざり、ムデハル建築としてスペイン独自のモデルニスモに表現されていきます。

■カタルーニャ音楽堂

2015年撮影 ファサード。様々な箇所に花の彫刻が見られる
2015年撮影 内部もとても美しい。

1908年に完成。鉄筋建築の音楽堂のファサードはモザイクでふんだんに飾られ、ステンドグラス制の逆向き穹窿で知られるコンサートホールの内部も過剰な装飾に溢れています。

外観にはムデハル建築の特徴であるレンガ造りを起用し、またドメネクは花を好んだようで柱等のデザインには花がふんだんに使われています。

最大の魅力はコンサートホールの天井とステンドグラスですが、残念ながら入ることができませんでした。

■サン・パウ病院

提供写真 正面入り口ファサード

1930年に完成した病院は広大な敷地に50近くある建造物を含みます。ファサードを抜けると、まるでテーマパークのような空間に出ます。カタルーニャ音楽堂と同様、ピンク色のレンガに、美しいステンドグラスを多用した、ファンタジーの世界のような建築です。

2009年まで病院として診療され、その後現役を引退しました。

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