Ironbridge Gorge (United Kingdom) OUV (i)(ii)(iv)(vi)
1986年世界遺産登録
■親子孫3世代にわたる功績
イングランド中部、セヴァーン川に沿うイギリス産業革命発祥の地コールブルックディル。ここに世界初の鉄橋アイアンブリッジが、1781年に開通した完成当時の姿で残っている。木炭の不足で操業停止に追い込まれていたこの街の製鉄所に、コークスの使用によって燃料不足を解消し、蒸気機関による鉄の大量生産に成功し、総重量400t、全長60mのこの鉄橋を完成させたのは、3代にわたるダービー一族の功績である。
UNESCO World heritage conventionより引用:https://whc.unesco.org/en/list/371
ダービー一族はイギリスの産業革命の時代に活躍した製鉄技術者の一族です。
ダービー1世は製鉄の過程で不足していた木炭に加えてコークスを使うという、鉄鉱石の製錬方法を編み出したとされています。
ダービー2世はコークスを使うことで炭素含量が多い銑鉄と呼ばれる材料を編み出した方です。
そして3代目、ダービー3世はまさにこれらの製鉄技術を駆使してアイアンブリッジの建設に携わりました。実は鉄の橋という意味では世界初ではありません。この橋はセヴァーン川を通過する船が一定の高さでも通過できるようにするため、橋の下をアーチ形にする必要がありました。
よってアーチ型で十分な耐重量を備えた鉄の橋として、世界で初めて成功し、その後の発展に寄与した点が評価されています。特にブルックリン橋やシドニーのハーバーブリッジなども影響を受けているとされ、まさに文化の交流が生じました。
18世紀に起こった産業革命に関わる産業遺産は、その建築物自体にも当然価値がありますが、世界遺産の観点ではその登録名称の通り、橋だけでなく、峡谷自体が範囲になっています。
鉄橋を作るにあたっての線路や道路、ショップ、宿屋、労働者の宿舎、チャペルや学校などの街造りの発展にもつながったのです。また、もともと鉄の橋ができる前から美しい峡谷であったとUNESCOの報告書にも記載されています。
まさに自然と人間が作り上げた鉄とがマッチしている環境なのだそうです(産業革命当時の環境保全という点は置いといて)