エローラ石窟群(インド)

SimonによるPixabayからの画像

※アイキャッチ画像は「Sachin KawaleによるPixabayからの画像」

Ellora Caves ( India ) OUV(i)(iii)(vi)

1983年世界遺産登録

■異なる宗教遺産のテーマパーク

インド、オーランガバードには数多くのインド宗教的芸術が表現された石窟が残されています。中でも世界遺産に登録されているのは「エローラー石窟」と「アジャンター石窟」の2つ。

エローラー石窟はそれだけで岩山に計34の石窟が掘られています。造られたのは4~9世紀、それも時代と共に宗教の種類も洞窟も変わっていきました。

インドの観光庁のサイトで360°ビューができますので、参考にされてみてください。

Ellora: The pinnacle of rock-cut architecture – Incredible India! (culturalspot.org)

①最初に造られたのは”仏教石窟”で、全34のうち第1~12窟がそれにあたります。

中でも第5窟が最も重要と考えられているようで、中央に18 m以上の2つの長椅子があり、長い講堂となっています。この洞窟は、おそらく仏教経典の集団朗読が行われた場所だと考えられているそうです。

主に僧が瞑想した部屋や、仏像が収められた仏間の2つに分かれ、それら小部屋が数多く存在します。インドの仏教石窟としては後期のものが多く、インド仏教が衰退していった時期に造られたものになります。

②次に造られたのが”ヒンドゥー教石窟”で、エローラーの第13~29窟までの17つが存在します。ヒンドゥー教は多神教ですから、様々な神の彫刻が残されており、その複雑さは生きた美術館のよう。

特に有名なのは第16窟の「カイラーサ寺院」で、アイキャッチ画像の象が沢山掘られているように、ヒンドゥー教の神々で飾られた彫刻パネルがあります。切り出した元はなんと1枚岩。複数階の階層構造を成しており、その複雑さを思い知らされます。

③最期に造られたのが”ジャイナ教寺院”で、第30~34窟に当たります。あまり日本では馴染みがありませんが、それもインド以外ではあまり普及しないできた宗教だからです。

しかし特に第32窟「インダー・サバの洞窟」は未完成ながらも最も壮観で、洞窟の上層階は、美しい柱、大きな彫刻パネル、さらに天井には絵画が描かれており最大かつ最も精巧な洞窟の1つとなっているそうです。

ユネスコサイトには、とある一人の設計によるものではなく、多くの人々が時代と共に増築してきた多様性が一つの作品となった点が登録基準ⅰとして評価されていました。

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