バリ州の文化的景観 トリ・ヒタ・カラナの哲学を表現したスバックシステム(インドネシア)

Cultural Landscape of Bali Province: the Subak System as a Manifestation of the Tri Hita Karana Philosophy (Indonesia)  OUV (ⅱ)(ⅲ)(ⅴ)(ⅵ)

2012年世界遺産リスト登録

■バリ州の文化的景観

サンスクリット語で以下を意味する ”wikipediaより引用”

トリ:3

ヒタ:安全・繁栄・喜び

カラナ:理由

バリ・ヒンドゥー教では、神と人・人と人・人と自然の3つの調和を重視する哲学があるらしい。また彼らに聞くところによると、常に善と悪が共存する考えがあり、例えば風の神は破壊をもたらすが、よい意味でも悪い世界を破壊し再生させる。水の神は調和をもたらす一方、悪い方向にも調和するようです。

スバック:9世紀以降のバリ独自の水利システムの呼称であり、10年前の時点で1600以上のスバックが存在したとされる。またスバック毎に寺院を持ち、水の神や稲の神への崇拝・宗教儀礼が行われてきた。棚田自体の呼称でもあり、組織自体の呼称でもあるとされる。ジャティルイなどの棚田はまさに自然と人が関わりあって形成された文化的景観といえると考えられます。

■登録範囲

<①ウルン・ダヌ・バトゥール寺院>

水の最高寺院。バトゥール山外輪山に位置し、1926年に現在の位置に移築された。バトゥール湖の女神はすべての川や泉の母神になったとされ、これらを祀る寺院である。

②バトゥール湖>

バリ最大の湖。スバックにとって重要な川や泉を生み出した女神の住処とされています。しかしTBSthe世界遺産の紹介では、

ここから出る水路は一本も無いようです。バトゥール山の20000年前の噴火による、凝結溶解岩(=凝灰岩の一種)が地質になっていて、水分を通しやすく、結果棚田への水脈の源泉になっているようです。

https://www.tbs.co.jp/heritage/archive/20200322/

<③タマンアユン寺院>

2018年撮影 第一の門 外堀が水で囲われている
2018年撮影 第二の門
2018年撮影 第三の内部 沢山のメルが見える。一番高いのが11段

水の王立寺院として18世紀初頭に建造された最大の水の寺院です。建築様式も他と異なり、ジャワ島や中国の影響を受けていると現地で聞きました。第三の門の中には多くのメルと呼ばれる尖塔があり、また屋根の数も様々。第三の門は3つのドアがあり、真ん中は神が通る門です。デウィスリと呼ばれる稲の神が祀られており、第3の門の外に、女神の形をしたデウィスリの像がありました。足元には稲、右手には稲穂、左手にはコメの入った茶碗がありました。またバリ・ヒンドゥの善の化身であるバロンも、穀物で作られている像として飾られていました。

<④ティルタ・ウンプル寺院>

<共通事項>

③において、また多くの寺院において共通することとして、三つの門があり、入口から「生を受けた門」「生きる門」「死後の門」となり、死後の門には一般客は入れないそうです。またメルと呼ばれる多重の茅葺屋根の尖塔があり、そこに神が降臨するとされます。屋根は多いもので11が最大。

<⑤ジャティルイの棚田>

2018年撮影

バリ島中部タバナン県、バトゥ・カウ山のふもとに広がる丘陵地帯。山と深い渓谷が連なるこのエリアには、一面に棚田(ライステラス)が広がっています。周辺にブラタン湖があるが、田のための水の確保や田面積確保には長年苦労しての景観だそうです。

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