西オーストラリアのシャーク湾(オーストラリア)

Flavio PolettiによるPixabayからの画像

※アイキャッチ画像は「Flavio PolettiによるPixabayからの画像」

Shark Bay, Western Australia ( Australia ) OUV(vii)(viii)(ix)(x)

1991年世界遺産登録

■一見するとただの岩?実は生物が作り出した化石

インド洋に面するオーストラリアの西側、長い海岸線の入江状になった一帯、”シャーク湾”が世界遺産に登録されています。

ユネスコのHPに記載の以下のマップを見ると一目でわかる通り、湾の形をした内部が構成資産となっており、この独特の地形が太古の時代から生き延びている生物が織りなす化石を今も見ることができます。

「ストロマトライト」

約27億年前以降の先カンブリア時代の地層から多く出土する、階層構造をもつ岩石状の化石。

この化石は、シアノバクテリアと呼ばれる、光合成によって酸素を生み出す地球上で初めての生物によって生み出されました。シアノバクテリアは夜になると光合成を止め、藻のように粘着性をもって海中の堆積物を取り込み、固定していきます。

この過程を幾度となく重ねていくうちに、岩石のように固まり、肥大化していきます。先カンブリア時代にはこうした酸素を生み出す化石が世界中にあったそうですが、この時代の末期になると、シアノバクテリアを捕食する生物が誕生し、ほとんどが死滅したとされます。

西オーストラリアでは私も他の地域で見たことがありますが、このシャークベイは現在残るストロマトライトの面積としては最大。

それは、この湾状の閉鎖的環境によって潮の流れが小さく、水分上昇による塩分濃度の上昇によってシアノバクテリアを捕食する生物が入りにくかったという説があります。

■100km以上続く真っ白な海岸線!その白さは砂ではなく・・・

シェルビーチ

こうした地形によって塩分濃度が上がったシャークベイには、いつしか多くの生物が生き延びられなくなり、代わりに台頭したのが小さな二枚貝だったそうです。そう、砂ではなく、貝殻によって真っ白に光るビーチが誕生しました。今ではシェルビーチは人気の観光地です。

また、地中深くに堆積した二枚貝は長い年月をかけて圧縮され、これまた岩のような存在に変わります。かつてはこの岩を石材として使って、石塀や石壁に使われていたそうで、今も建築物を一部みることができるとか。

また、このあたりには、人魚伝説のモデルとなったジュゴンや巨大なジンベイザメが湾内に生息し、また、ザトウクジラの回遊地でもある点も特徴です。モンキーマイアという地域は日本人の観光ツアールートとしても人気で、野生のイルカに間近で餌やりができるなど、人との交流もよく知られており、絶滅の危機にさらされている海洋生物の避難場所ともいわれているそうです。

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