マハーバリプラムの建造物群(インド)

PeterW1950によるPixabayからの画像 マハーバリプラム 

※アイキャッチ画像は「PeterW1950によるPixabayからの画像」

Group of Monuments at Mahabalipuram ( India ) OUV(i)(ii)(iii)(vi)

1984年世界遺産登録

■さながら屋根のないオープンミュージアム!ヒンドゥーの芸術の町

インド南東部の海岸沿いの港町マハーバリプラムはヒンドゥーにおける聖地の一つであり、メインとなる建造物群、ムクンダ・ナヤナール寺院、ピダリ・ラタおよびバリアン・クッタリ・ラタの3つのエリアが世界遺産に登録されています。

マハーバリプラムは、7世紀から10世紀にかけて発展した海港で、パッラヴァ王朝の王によって統治されていました。この時代、世界中から芸術家や、詩人、作家が訪れ、王朝はこの地域を芸術と建築における振興の中心地として栄えさせていきます。

ナラシンハヴァルマン1世をはじめとするこの王朝の歴代の王たちは、こうして海岸と岩山に数多くの寺院や花崗岩を利用した彫刻などの建造物を残し、世界遺産としてもメインとなる建造物群が登録されています。

その一つが「パンチャタ・ラヤ」。ここは”マハーバーラタ”という戦争叙事詩の登場人物の名前が付けられた5つの山車(ラタ)と呼ばれる石彫刻寺院があります。”マハーバーラタ”はバラタ族の戦争を語る詩という意味をもち、バラタ王の子孫であるクル族の地で起こった戦争をテーマとしていのだとか。

これらのラタは、7世紀頃に造られたそうです。中には象、ライオン、雄牛の像がヒンドゥーの神々とともに表現されています。

もう一つが「岩壁寺院」と称される、神話をモデルにした花崗岩の大きなレリーフが残された建造物。

これはヒンドゥーの神話をモデルにしたレリーフで、その大きさはなんと10m×32mと巨大。神々や寺院、ゾウといった動物が描かれています。しかしこのレリーフ、作られたのが7世紀にさかのぼり、風化によって神話のテーマそのものが判別できない状態だそうです。

特に有名なのが”アルジュナの苦行“と称されるレリーフ。一説によれば”マハーバーラタ”の主人公が一人、アルジュナが強大な武器を求めてシヴァ神の加護を得るための苦行を示すものとされ、また別の一説ではラーマーヤナに登場する、ガンガー神の落下を受け止めるシヴァ神の力を讃えるというもの、この2つの説があるとされます。

その他「ショア寺院(あるいは海岸寺院」は、マハーバリプラムの近くで最古の、独立した寺院。

パッラヴァ王朝の建築術を表現し、ナラシンハバルマン2世の下で造られました。寺院の中には3つの聖なる場所があり、うち二つはシヴァ神に捧げたもの、もう一つはヴィシュヌ神に捧げるもの。ベンガル湾の海岸に立っていながら、2004年の津波で無事だったただ1つの世界遺産です。ショア寺は、二つの塔からなり、いずれも頂部に半球状の冠石をいただいています。潮風や波浪による浸食作用により、損傷や崩壊が危ぶまれています。

LoggaWigglerによるPixabayからの画像 マハーバリプラム ショア寺院

こうしたメインとなる建造物群はほぼ海岸沿いに位置しますが、少し内陸には他にも2つのエリアが世界遺産に登録されています。

ここはまるで屋根のない博物館のような、そんな古代の芸術が残る街です。

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