ティール(レバノン)

PeggychoucairによるPixabayからの画像ティール

Tyre ( Lebanon ) OUV(iii)(vi)

1984年世界遺産登録

■かつてフェニキア都市国家として繁栄し、今はローマの遺跡が残る遺跡

レバノンの地中海に面した海岸沿いに、かつてフェニキア人が造った都市国家ティルスの遺跡が今なお残り、世界遺産に登録されています。

フェニキア人はアルファベットの原型ともされる、フェニキア文字を開発した民族とされています。ここにフェニキア人都市が築かれたのは紀元前2,500年頃、その後紀元前1,000年頃には地中海沿岸に広がるフェニキア人国家で最大の都市にまで拡大しました。

ティルスの勢力は、あのカルタゴも植民地として従え、地中海を支配するほどでした。ソロモン王によるエルサレム神殿の建造はティールから派遣された建築士と資材を抜きにしては不可能であったともされます。

独自の文字を生み出したことからも文学や信仰、そして建築技術をもち、発展していったものの、セレウコス朝シリアやローマの支配下になるなど、時代と共に変化し、十字軍の占領以降は衰退、現在はティールと呼ばれるレバノンの沿岸都市になりました。

フェニキア人都市国家として華やかだった時代の遺構は数少なく、現在残るのはローマ時代の劇場や大浴場の遺構がほとんど。

世界遺産としても早くに登録され、緩衝地帯が設定されていません。そのため現在、海に沈んだ海中遺跡の調査とともに、緩衝地帯の設定が世界遺産委員会でも議論されています。

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