アジャンター石窟群(インド)

TookによるPixabayからの画像

※アイキャッチ画像は「TookによるPixabayからの画像」

Ajanta Caves ( India ) OUV(i)(ii)(iii)(vi)

1983年世界遺産登録

■1,000年かけて造られ、1,000年の眠りについた仏教寺院

インド中央部を流れるワゴーラー川に沿うように、約30の仏教石窟が並んでおり、耳の形をした湾曲部が世界遺産に登録されています。インドではアーグラ城に続いて2例目の世界遺産となりました。

これらの石窟が造られたのは、古いものは紀元前に遡るとされ、新しいものは7世紀頃のものとされているため、空白はあったものの、1,000年近い長い時間を経て形成されていきました。8世紀以降は仏教の衰退とともに放置されたようで、発見されるまでにまた1,000年近くの歳月が過ぎてしまったのです。

このエリアは断崖と森に囲まれ、下記図のように森が緩衝地域に指定されています。そのおかげでしょうか、こうしてかつて栄えた時代の仏教石窟が、一部はとても良い状態で保存されました(登録基準ⅲ)。

緑が緩衝地域、黄が資産エリア

アジャンター石窟は柱や天井にミトゥナと呼ばれるインド仏教で見られる男女交合像などのレリーフや、テンペラの技法を用いた壁画等、その美術的な価値が高いところがあげられます(登録基準ⅰ)。

中にはここに描かれた菩薩の壁画は、遠く離れた「法隆寺」の金堂にある菩薩の壁画を連想させるものとされており、こうした仏教美術が海を越えて広く伝播したことも評価されています(登録基準ⅱ、ⅳ)。

幅広い時代に造られていったものの、最盛期は4~6世紀のグプタ朝時代とされ、美術的にも建築技術的にもグプタ様式のものが多くみられるそうです。

なお30を超える石窟は主に2種類に分けられるとされ、一つは仏塔を安置する礼拝堂の役割をもつ祠堂=チャイティヤ石窟と、もう一つは僧侶たちの居住スペースである僧房=ヴィハーラ石窟です。前者は全部で5つのみ、他はすべて後者とされています。

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